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2024年の大統領選後も不確実性は継続するのか
昔から、大きな選挙の年は政策の不確実性が高まるといわれている。政党が対立関係にあれば、企業の成長、リスク、収益に影響を及ぼす経済政策関連のさまざまなテーマに関して異なる考え方を持っているためだ。しかし、そうした不確実性は、選挙の結果が明らかになるとたいてい低下する。
このように、選挙の前に政策の不確実性が高まり、選挙が終わったとたんに不確実性が急激に低下するというパターンは、世界中のあらゆるレベルのあらゆる選挙で見られてきた。米国の州知事選や大統領選でも、そのほかの国々の主要な選挙でも、そうしたことが起きている。
では、2024年の米国でも、これまでの大統領選の年と同様のパターンが生まれるのだろうか。11月の選挙が終われば、経済と政策の不確実性が和らぐものと思っておいてよいのか。
そうとは言い切れない。2024年はいくつか異例の要素があり、選挙結果が明らかになった後も選挙前の不確実性が続く可能性があると、筆者らは考えている。本稿では、企業経営者が自社の戦略を微調整するうえでいま頭に入れておくべきことを論じる。
通常の選挙年における不確実性のサイクル
選挙の前に不確実性が高まる結果として、企業は投資の決定を控える場合がある。一般的な常識によれば、選挙前には、物的資産(新しい工場の建設など)や人的資源(事業拡張のための新規採用など)への大規模な投資は控えるべきだとされている。大がかりな資金拠出が必要なプロジェクトは、選挙の後まで待つべきだと言われてきた。その種のプロジェクトは、のちに規模を縮小させてリストラを実行するはめになった場合に、莫大なコストが必要になるからだ。