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チームのネガティブな空気は積極的な介入で打ち消す
チーム内でさりげない嫌味や、ちょっとした陰口、つまらぬ粗探しを見聞きしたとして、最初のうちは罪のない冗談や単なる毒舌だろうと受け流したかもしれない。しかし、チーム内の空気が緊張するにつれ、そこに深い問題があることが明白になる。反感がくすぶっているのだ。こうした問題について、チームでどのように対処すべきなのだろうか。どうすればネガティブな空気を打ち消すことができるのだろうか。健全で協力的な関係を築くには、どのような方法があるのだろうか。
専門家の見解
従業員の不満は高まっている。PwCが2024年6月に発表したリポートによると、2022年の大退職期よりも、現在のほうが、仕事を辞めたいと考えている労働者が多いという。そして、UCL経営大学院准教授で組織行動学を教えるアンソニー・クロッツによれば、現在の米国雇用市場は、特に知識労働者にとっては当時ほど有利ではないため、多くの人が「不満と閉塞感」を感じているという。その感情が反感となり、「嫌なやつ」のような振る舞いにつながる可能性があるとクロッツは指摘する。たとえば、同僚をグループメールから排除したり、会議中に人の話を遮ったりといった「礼儀を欠いた行動や迷惑行為」を犯す可能性が高くなるという。
コンサルティング会社ナバレントの共同設立者兼マネージングパートナーであり、『誠実な組織』の著者でもあるロン・カルッチは、対策を打つかどうかは、マネジャーであるあなた次第だと言う。「たとえ反感の対象があなただとしても、それを解消するのはあなたの仕事です」。そして、「関心、寛大さ、共感を持って状況に臨み、相手の感情を和らげ」、「建設的に関与する」ことを勧めている。本稿では、そのための効果的な方法をいくつか紹介しよう。
自然に解決すると考えない
緊張感のある非生産的な会議や、メンバー同士が互いを過度に批判し合うなど、仕事がはかどらない日というのはたまにあるものだ。彼らの不満は、仕事とは無関係でさえあるかもしれない。「私生活で何かあったのかもしれないし、不安定な政治情勢やインフレを心配しているのかもしれない。皆いら立ちを抱えながら生きているのです」とカルッチは言う。それ以外でチームに「一定レベルのエンゲージメント、貢献、喜び」が見られるのであれば、それは人間関係によくある浮き沈みの一つかもしれない。しかし、無礼な行動や反感がパターン化した場合は、スピーディに真剣に対処しなければならない。「時間が解決してくれると思ってはいけません」とクロッツは言う。放っておくと、反感は士気を低下させ、伝染し、いわゆる「無礼のスパイラル」を引き起こす。「そのような環境は、どんな前向きな機運をも奪ってしまいます」
チームを近くで見守る
グループ内の空気が「不和や敵意に傾きかけている」ことを認識するためには、チームメンバーの性格や何を大切にしているのかを深く理解する必要がある。「論争が仕事上の対立から人間関係の対立に移行するタイミングや、介入が必要なタイミングを見極めるには、チームをよく知る必要があります」とクロッツは言う。反感は、攻撃的な言動として表れることもあれば、沈黙や逃避として表れることもある。「努力や活力のレベルが変化していないか探りましょう」。カルッチは、コミュニケーションラインを開くことを勧める。「チームにこう伝えましょう。『いら立ちや疲れ、不安を感じている人がいたら、私がそのいら立ちの原因であったとしても、聞かせてほしい』と」(詳細は後述)。
何かに気づいたら、声をかける
どのような形であれ、チーム内に反感のサインを見つけたら、どうすればよいのだろうか。クロッツは、地下鉄でよく見かけるアドバイスに従うことを勧める。「If you see something, say something.」(不審物・不審者を見かけたら、お知らせください)。その場合の会話は一対一で行うのがベストで、相手の状態や気づいたことに合わせて首尾よく対応する必要がある。目標は「対立に負けないチームをつくる」ことだとカルッチは言う。以下に例を挙げよう。
・黙り込むタイプの部下の場合:クロッツは、「調子はどうですか」とか「何か気になることはありませんか」といったオープンエンドな質問から話し合いを始めることを勧めている。その後、「最近少し静かですね」「さっきのチームミーティングで起こった論争で、あまり発言していませんでしたね」など気づいたことを共有する。相手の健康を心から気遣っていることを示し、相手が自分の考えや気持ちを表に出しやすいように扉を開く。彼いわく、「背中を押すのです」