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「私は何者か」から始めるリーダーシップ
ここ数年で定着した感のあるカタカナ言葉の一つに「オーセンティシティ」(authenticity)があります。「本物らしさ」や「偽りのないこと」を表すこの言葉は、マーケティングの文脈では正直なブランドの姿勢を指す用語として、リーダーシップの文脈においては自身の価値観と誠実さを軸に行動するリーダーの一つのスタイルを指す言葉として日本でも浸透してきました。
権力や表面的なテクニックによらず、自分らしさに根差したリーダーシップスタイルを貫くことには、どのような利点があるのでしょうか。自分の価値観を深く理解し、みずからの信念や倫理観に従って行動するので、そこには一貫性が生まれます。また、誠実なコミュニケーションを通じて信頼を育むことができるため、結果として他者に影響を与えることができるのです。
ただしオーセンティックリーダーシップを実践するためには、何をおいてもまずおのれを知らなければなりません。どのように自己を認識し、自分独自のスタイルを形づくっていけばよいのか。この問いに、4本の論考とともに挑戦したのが今号の特集「リーダーらしさはどこから生まれるのか」です。
特集1本目「リーダーは『自分は何者か』を深く理解せよ」では、1000人以上を対象にした研究から、自身のアイデンティティの構成要素をより多面的に特定することが、公私にわたっていかにプラスの効果をもたらすかを示します。
続く「リーダーにしかできない仕事は何か」では、常に重要なタスクに忙殺されるリーダーが、時間という希少資源を適切に配分し、自分にしかできない仕事に集中するための考え方を紹介します。
リーダーのスタイルはリーダーの数だけあってしかるべきですが、そのすべてに共通する使命の一つが「メンバーを鼓舞すること」。特集3本目「人の心を奮い立たせるリーダーの条件」は、リーダーが人を鼓舞する存在であるために、3つの役割を果たすことが重要だと主張しています。
また特集4本目「リーダーが自然体でいることで人も組織も成長できる」では、自然体でいることを意識しているという日本マイクロソフトの津坂美樹氏に、リーダーとしての心構えについて語っていただきました。示唆に富むインタビュー、ぜひご一読ください。
さて、『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』は今号からロゴデザインを一新しました。伝統的なハーバードのロゴである盾のモチーフを継承しながら、クリーンで大胆、かつモダンなアレンジを加えることで、時代とともに歩みを止めない進取の精神を表現しています。新しくなったDHBRを、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
(編集長 常盤亜由子)