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新任リーダーが部下にフィードバックを伝える難しさ
どんなリーダーも、新たな役職に就くとさまざまな課題に直面する。信頼を得られるか、上司と良好な関係を築けるか、戦略的な人間関係を構築できるか。そのなかでも特にデリケートで重要な課題の一つが、フィードバックの方法である。
部下にフィードバックを伝えるという行為は、まるで綱渡りのように感じられるかもしれない。新しいチームとの信頼関係をまだ築けていないタイミングで、自分の価値を早急に証明しなければならないというプレッシャーがのしかかる。早く動きすぎれば誤った一歩を踏み出しかねず、逆に待ちすぎると行動できないまま重要な機会を失うリスクがある。
かつてCレベルの経営幹部を務め、その後CEOおよびエグゼクティブコーチに転じた筆者自身も、この課題にみずから直面し、また、多くのリーダーがこの重要な局面を乗り越えられるよう支援してきた。本稿では、新任のリーダーが自信と明確さを持ってフィードバックに取り組めるようにするための4つの戦略を提示する。
1. 状況を評価する
筆者が部門CFOのバリーにエグゼクティブ・コーチングを行ったのは、彼が新たな役職に就いて数週間が経った頃だった。そのセッションの目的は、就任初期の影響力を最大化することだった。彼は自身のキャリアを振り返り、新しい役職に就くとすぐに行動を起こす傾向があり、そのアプローチが反発を招き、人間関係を緊張させてきたと語った。
新任のリーダーは、自分の価値を示すためにすぐに行動に移り、短期的な成果を狙いたくなるものだ。しかし、全体的な状況を理解しないまま行動を起こすと、それがどれほど善意に満ちた行為であっても、逆効果になりかねない。
スピードと状況理解という相反する2つの側面のバランスを取るためには、4つの領域──技術的、人間関係的、文化的、政治的──において体系的な学習計画を策定することが有効だ。これはマイケル・ワトキンスの『ハーバード流マネジメント講座 90日で成果を出すリーダー』に基づく枠組みであり、システムや役割だけでなく、価値観や規範、非公式の権力構造、隠れた力学についてリーダーが探る際にも役立つ。
それぞれの領域ごとに、過去(このチームの成功や挫折をもたらしたものは何か)、現在(影響力を持っているのは誰か、チームの業務遂行のリズムはどうなっているか)、未来(どのような変化が見込まれるか、どんな障害が存在するか)について質問しよう。