優れたリーダーはマイクロマネジメントせずに業務進捗把握する
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サマリー:有能なリーダーは、チームの進捗を明確に見通せる状態が偶発的に実現するのではなく、意図的に設計されるものだと理解している。過干渉に陥らずに状況を把握するためには、業務を「必要とする詳細の度合い」と「コミ... もっと見るュニケーションの頻度」で整理し、プロジェクトや関与する人に応じて適切な関与度を調整することが重要だ。本稿では、「可視化グリッド」を活用しながら、マイクロマネジメントに陥ることなく状況を把握するための具体的な方法を紹介する。 閉じる

優秀なリーダーはマイクロマネジメントをしない

 リーダーとして、チームの仕事の状況を常に把握しておくことは欠かせない仕事だ。どのプロジェクトが順調に進んでいるか、どの期限が遅れているか、リソースがどこに割かれているかを知っておく必要がある。問題を早期に発見して解決し、いつでも上層部に対して優先事項を提示できるように準備しておかなければならない。

 しかし、チームの仕事を適切な塩梅で把握することは難しい。情報が少なすぎると、予期せぬ問題に直面したり、意思決定が必要な時に具体的な情報をつかめなかったりするおそれがある。一方、関わりすぎれば逆効果になりかねない。常に状況を確認し、報告を求め、あらゆることに口を出そうとすると、チームはマイクロマネジメントされていると感じるかもしれない。これは支配的であると受け取られる可能性があり、自律性を重んじ、経験豊富なマネジャーを率いている場合は特にそうだ。

 最も有能なリーダーは、ワークストリームや成果物の全体像を明確に見通せる状態が偶然に生まれるものではないと理解している。それは意図的に設計すべきものだ。本稿では、マイクロマネジメントをせずに進捗状況を把握する方法を紹介する。

可視化グリッドを用いてプロジェクトを分類する

 はじめに、2つの主要な要素に基づいてチームの仕事をマッピングする。(1)あなたが必要とする詳細さの度合い、(2)コミュニケーションの頻度だ。これにより、一律に同じレベルで関わるのではなく、それぞれのプロジェクトに合わせたアプローチが可能になる。

 このグリッドを使って、チームに対する期待を明確に共有する。「何の」情報が「なぜ」必要なのかを、それがどのように彼らの仕事を楽にするかという理由と結びつけて伝える。たとえば、定期的なチェックインが問題を早期に発見し、土壇場の緊急事態を避けるのに役立つことや、明確なアップデートによって迅速な意思決定や障害の排除ができることを説明する。あなたが可視性を求めることが、「チームの」成功を支えることを彼らが理解すれば、信頼関係が築かれる。

 これを実践する方法を、実例を用いて見ていこう。グローバルな化粧品会社でブランド戦略部門の副社長を務めるバーニーは、25人のチームを率いている。彼の部署は、長期的なイノベーションプロジェクトから製品発表、継続的なマーケティングキャンペーンまで、あらゆる業務を推進している。

詳細度は高く、コミュニケーション頻度も高い

 これは、遅延、ミス、あるいは不明確なデータが重大な結果をもたらしかねない、極めて重要な業務であり、注意深く見守る必要がある。主要な指標や阻害要因を強調した日次リポート、問題発生時のリアルタイム通知、担当責任者との頻繁なチェックインが必要になる場合がある。

 バーニーの場合、この領域には、まもなく発表される決算に関連した新製品のローンチが含まれる。多くの部門横断的なパートナーが関わり、厳しいスケジュールの中で進められる重大なプロジェクトだ。バーニーはプロジェクトリーダーと毎週ミーティングを開き、キャンペーンの日次レポートを受け取り、プログラムマネジャーとの直接的なエスカレーションチャネルを通じて、問題を可能な限り早く報告するよう指示している。