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心理的安全性の確保は「贅沢」なのか
企業が困難な状況に直面し、リソースが限られてくると、従業員が報復を恐れずに考えを口にできる「心理的安全性」を推進するプログラムは、最初に削減されることが多い。
しかし、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)教授のエイミー・エドモンドソンと、ハーバード公衆衛生大学院のミカエラ・ケリッシーが、HBS博士課程のハシナ・バハドゥルザダとともに行った研究によれば、困難な時期こそ、そのような取り組みを中止すべきではないという。実際、心理的安全性は、混乱期にバーンアウトや離職を防ぐための重要な要素だ。心理的安全性を育む取り組みは、危機が起こるずっと前から始めておくといっそう効果的である。
「バーンアウトは、あらゆるものを抱え込んで必要な助けを得られず、精神的にも身体的にも疲弊した状態のことだ」とエドモンドソンは述べる。彼女は、1999年に「チームの心理的安全性」という概念を初めて提唱した。「しかし、過去に困難な状況の中で声を上げ、悪い事態に陥らなかったという経験があれば、再び声を上げやすい」
エドモンドソンとケリッシーが2024年5月に発表した論考"Psychological Safety as an Enduring Resource Amid Constraints"(制約下における持続的資源としての心理的安全性)は医療分野を対象としているが、混乱や経済的不確実性に直面するあらゆる業界にとって示唆を含んでいる。企業が採用に慎重になり、場合によっては人員削減も行う中で、ポストパンデミック期の「静かな退職」を経た多くの従業員は、より少ないリソースでより多くの仕事を担わされている。心理的安全性は、こうしたストレスの多い時期に組織にとって強力な癒しとなる。
エドモンドソンが会議で講演すると、参加者からは心理的安全性が贅沢なもののように語られることが多い。スピードが速くプレッシャーの大きな医療現場では特にそうだ。
「『理想的だが、困難な時期にはもっと差し迫ったニーズのために後回しにせざるをえないのではないか』というのだ」
しかし、『インターナショナル・ジャーナル・オブ・パブリックヘルス』誌に掲載されたこの論考は、そうした考え方を否定し、心理的安全性が従業員の健康と会社への定着において、物質的資源と同じくらい不可欠であることを示している。
なお、ケリッシーはハーバード公衆衛生大学院の経営学准教授であり、エドモンドソンはHBSのノバルティス寄付講座教授でリーダーシップとマネジメント論を担当している。
心理的安全性とバーンアウトの関連を探る
「長らく、バーンアウトは資源が枯渇することで生じると考えられてきた」とケリッシーは述べる。「心理的安全性を『社会的資源』として捉えることによって、バーンアウトを減らすためのまったく新しい視点が開ける。これは医師のみならず、ストレスの大きな他の産業にとっても有用だ」








