-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
組織トップの決定とみずからの信念が異なる時
自分の信念に根本から反する決定を経営陣が下した時、リーダーはある矛盾を突きつけられる。みずからの信条を貫きながら、それに反する指示をいかに実行するか、というものだ。
筆者らが協働したグローバルヘルスケア企業の人事担当バイスプレジデントであるエミリーは、CEOが「グローバルな組織統合のため」として大規模な組織再編を発表した際、まさにこのジレンマに直面した。
その18カ月前、エミリーは苦境にあった部門を再建するために採用された。優秀なリーダーたちを募り、共通のパーパスの下にチームを結束させ、他地域のモデルとなるような戦略を構築した。チームは順調に成長していたが、突然のトップダウンの指令で、バイスプレジデント以下の全従業員が、自分の職務に就くには再面接を受けなければならなくなった。エミリーは、この措置は不要であるばかりか、壊滅的な打撃を与えかねないと考えた。みずから再建したチームを解体しかねず、自分は同意できないがCEOは会社の変革に不可欠だと主張する知らせを部下に伝えなければならなかった。
組織が現場に近いリーダーを関与させずに大きな変革を強行すれば、信頼関係と成果の両方が損なわれる。リスクを予見し、前提を厳しく検証し、効果的な導入プロセスを構築するのに最適なのは、こうしたリーダーだからだ。
それは研究でも裏づけられている。マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によれば、変革プログラムが目標を達成できる割合は3分の1に満たず、その成否は、従業員が「参画している」と実感できるかどうかに大きく依存している。自分の意見が尊重されていると感じれば、従業員のエンゲージメントは高まる。また、意思決定のプロセスが明確に示されれば、信頼は強化される。ギャラップの調査では、エンゲージメントの高いチームは、生産性が18%高く、収益性が23%高いことが示されている。
一方でデロイトの報告によれば、絶え間ない変化、多数の優先事項、期待値の上昇により、リーダーが抱えるプレッシャーは増大しており、労働者、マネジャー、エグゼクティブの約4割が「常に」または「しばしば」疲弊やストレスを感じているという。
筆者らはシニアエグゼクティブに協力した経験に基づき(エグゼクティブアドバイザー兼リーダーシップ開発の専門家であるジェニー・フェルナンデスとエグゼクティブコーチ兼チームコーチのキャスリン・ランディス)、リーダーが強く反対する決定を遂行せざるをえない状況下でも、誠実さと影響力、そしてインパクトを保つための4つの戦略を特定した。
1. 冷静になる
覆せない決定が下された時、リーダーが最初に行うべきは、状況の修正ではなく、落ち着きを取り戻すことだ。多くのリーダーはこのステップを飛ばし、不満や罪悪感を抱えたまま実行へと突き進んでしまう。しかし、戦略的な明晰さを生むのは、感情的な安定だ。







