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「AIを使え」大号令の陰で
職場でAIツールが急速に広がり、その活用を促す圧力が高まる中、従業員はワークスロップという問題に直面している。ワークスロップ(workslop)とはAIで手軽に生成した成果物で、一見したところもっともらしく洗練されているが、認知的作業を受け手に転嫁し、時間と労力の無駄遣いを強いる。受け取る側にしてみれば、混乱と怒りを引き起こす経験になりうる。
筆者らは2025年秋に『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)で初めて「ワークスロップ」という造語を紹介した時、職場のダイナミクスにダメージを与え、不信感を生み、チームメンバーに発信者の知性や信頼性が低いと見なされる原因になりうると説明した。筆者らの研究は続いているが、ワークスロップが反感の種を蒔き、信頼を傷つけ、総じて職場の士気に悪影響を及ぼす例を多く耳にするようになった。
・ある会社では、従業員がバイブコーディングを使ったために、コードベースに多数の重大なバグが発生し、あるエンジニアが「チームに激怒」して、わずか2日前の通告で離職した。
・別の会社では、ある質的研究担当者が、上司が研究結果をチャットGPTに入力して、図表やディスカッションの叩き台を作成したことに対し、「心理的に操作されている」ようで「怒り」を感じたと述べた。「その結果は間違っており、ディスカッションの叩き台も専門用語まみれのナンセンスなものだった」という。彼らが腹を立てたのは、「それが役に立たなかったから」だけでなく、自分たちの研究結果が無断でチャットGPTに入力されたことだった。「侵害された気分だった」という。
・あるテクノロジー企業の従業員は、勤務評価の口調が上司らしくなく、その文書が従業員本人の自己評価を使い回されていることに気がついた。自分が「大切にされていないし、評価もされていない」と感じ、昇進の「希望を捨てた」という。
筆者らの記事に対する反応の多くは、生産性コスト(自分に届くワークスロップの対応に費やされる時間の浪費)を指摘するものが多かったが、リーダーが真に懸念すべきなのは、ワークスロップが人間関係に与える影響だ。
ワークスロップを生み出す人たちに対して、軽蔑の念を抱きたくなるのはわかるが、筆者らの研究は不都合な答えを指し示している。すなわち、ワークスロップの急増は、マネジメントの失敗なのだ。
具体的には、「AIを使え」という漠然とした命令と、過負荷状態のチームがもたらした現象だ。リーダーは従業員に、極めて強力なツールを使うようにと漠然とした指示を出すが、多くの従業員はあまりにも多くの仕事を抱えて、精神的に疲弊していて、不透明性が存在することを認めたり、助けを求めたりすることすら安全だと感じられない環境で働いている。
ワークスロップは不可避ではない。そこで、いまリーダーが知っておくべきことと、ワークスロップを防ぐ方法をここに示そう。
ワークスロップが生まれる圧力環境
新しい技術がどのように使われ、それが使う人にどのような影響を与えるかが理解できるようになるには、時間がかかることが多い。生成AIツールが職場に根を張るにしたがい、それが職場をどう変えるかがようやく見えてきた。筆者らは、このプロセスがさまざまな状況で、さまざまなテクノロジーとともに展開される様子を観察してきた。







