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リーダーが基本を正しく理解すればAIは機能する
賢い人も企業も、AIに関しては共通の落とし穴に陥る。すなわち、現在のプロセスの上にAIの層を重ねれば、これまでの多くの過ちが露呈せずに隠れるだろうという間違った思い込みである。
「ゴミを入れればゴミしか出てこない」ことを彼らは十分に知りながら、自分たちはスロップ(質の低い成果物)やハルシネーション(幻覚)、顧客の不満とは無縁であると思い込んでいる。データにあまり投資していないにもかかわらず、自社のデータは平均より優れていると信じている。あるいは、AIのシステムやプロセスに人間を介在させれば、今後生じるいかなる問題にも対処できると考えている。
他の点では聡明なリーダーが、なぜこの種の摩訶不思議な思考に陥ってしまうのだろうか。端的にいえば、彼らはAIが何らかの形で「打ち出の小槌」になるという期待に魅せられているのだ。
プロジェクトが行き詰まって利益が生まれない時、リーダーは新たな最高データ責任者(CDO)、新しいテクノロジー、または別のベンダーに救いを求める。それでも何も奏功しない場合は、「文化を変革しよう」と漠然とした呼びかけを行う。
彼らは間違った方向を見ている。多くのリーダーはあらゆる正しいことを言いながら、データ、顧客、品質、ビジネス目標の重要性を軽視しているのだ。考えてみてほしい。「高品質なデータはAIの基盤である」ことにはほぼ誰もが同意するが、いまだに適切な行動を取れていない企業がどれほど多いだろうか。AIで生成された成果物を受け取る側の欲求、願望、ニーズを真剣に考慮したプロセスを有する企業が、どれほどあるだろうか。ワークスロップ(AIによる見た目がよいだけの手抜き仕事)がこれほど常態化しているのも、不思議ではない。
ほとんどの企業にとって、AIを十分迅速に導入できているかどうかを心配するよりも、基本を正しく押さえるよう万全を期すほうが得るものが大きい。筆者は35年近くにわたり世界中の企業のアドバイザーを務める中で、いつの時代にも通用し、相互に補強し合う品質管理の5つの基本をデータに適用し、応用する支援をしてきた。それらは顧客中心主義、プロセスの重視、事実に基づく行動の徹底、継続的改善の理念、品質は人を通じて形成されるという認識である。
どれも一見単純なように思えるが、単純な物事は往々にして難しい。正しく実践するには、迅速に動くことを重んじる現在の風潮に全階層のリーダーが抵抗し、長期的視点で自社について深く考えることが求められる。新しいテクノロジーやアイデアを取り入れることは刺激的で、勢いよく前進している感覚をもたらす。だがAIの導入はそれ自体が目的ではなく、目的を達成するための手段にすぎない。AIをうまく機能させるには、リーダーはまず基本を正しく押さえるよう徹底する必要があるのだ。
それぞれを順番に検討していこう。
社内と社外、両方の顧客を満足させる
筆者の経験では、AIは促進要因として機能する。現在の関係性における強みと弱みが何であれ、AIはそれらを助長する。お金を払ってくれる顧客があなたの会社を冷淡で遠い存在だと感じているならば、AIは「この会社は個人としての顧客に関心がない」という彼らの確信をさらに強めるだろう。従業員同士が部門横断的にうまく協働できていない場合、AIは協働をさらに難しくさせる。失うものは多い。
一方、多くの顧客は一人または複数の顧客担当者と良好な関係を築いている。AIはその関係を強化することができる。さらに、AIによって製品・サービスの向上が期待できる。したがって本当のチャンスも存在する。
ここでの核心的な問いは、あなたは顧客が必要とし、望んでいるものを提供しているのか、である。







