組織の選択 激変する環境にどう対応するか
サマリー:『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)2026年6月号の特集は「組織の選択 激変する環境にどう対応するか」です。外部環境は複雑化し、予測不能となる一方です。そんな中でしなやかに適応し生き残る組織は、どのような判断軸をもとに次なる一手を選択しているのでしょうか。そこで2026年6月号の特集では、みずから主体的に変化を起こすか、変化に適応するか、あえて風向きが変わる好機を待つか――変化の時代の組織開発のあり方について考えます。

激変する環境を、組織はどう乗り切るか

「ここではね、同じ場所にとどまるためには、思いっきり走らなければならないの。どこか別の場所に行きたいなら、少なくともその二倍速く走らなきゃ!」赤の女王はそう言うと、走れど走れど変わらない周囲の景色に戸惑うアリスのために、ポケットからビスケットの小箱を取り出すのでした――。

 耳元で風がヒューヒューと唸りを上げるほどのスピードで走ってようやく同じ場所に留まっていられるなんて、アリスが迷い込んだ「鏡の国」は、まるで現代のビジネス環境のようだと思いませんか。ただでさえ慣性が働きがちな組織にとって、この激しい変化スピードに同調し続けながら、刻々と移ろいゆく環境についていくのは至難の業です。今号の特集「組織の選択 激変する環境にどう対応するか」は、この激流下りのような環境下で企業が生き残り、いや勝ち残りを図るために、ぜひ参考にしていただきたい組織開発のヒントを提示します。

 特集1本目「NTTは巨大な組織の慣性を乗り越え、スピード重視で力を加え続ける」は、NTT会長の澤田純氏へのインタビューです。グループ全体で30万人以上の従業員を抱える巨大組織を率いてきた澤田氏は、単に環境変化に対応するのではなく、みずから変化を起こすことが重要だと語ります。

 特集2本目「プロジェクト主導型組織を実現する8つの要諦」と3本目「複雑な環境に柔軟に適応するオクトパス組織という選択」は、組織の変化適応力を高めるためのヒントとしてお読みいただきたい論考です。ここで取り上げた「プロジェクト主導型組織」や「オクトパス組織」といった形態は、手法は違えどどちらも、複雑性に満ちた事業環境に企業が柔軟かつ機動的に対応することを狙いとしています。

 特集4本目「企業には『戦略的冬眠』を選ぶべき時がある」は、政府の政策転換や規制変更による事業環境の急進的な変化に対しては、時に「戦略的冬眠」という手段が有効に働くことを説きます。

 変化の時代を乗り切れるか否かは、ひとえに組織のリーダーの決断力と胆力にかかっています。これからの組織づくりに本特集をお役立てください。

 今号からDHBR創刊50周年記念連載がスタートしました。ご寄稿いただいた一橋大学の伊丹敬之名誉教授に感謝いたします。

(編集長 常盤亜由子)