-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
変革に対する従業員からの抵抗
最近ある同僚から、変革に関するありふれた質問を受けた。「変革に対するもっともな懸念と、反射的な抵抗とを、どう見分けるのか」
一見、実践的なリーダーシップの問題のようだが、考えれば考えるほど、実は答えられないことに気づいた。なぜならそこに、「抵抗には正当なものとそうでないものがある」という誤った前提があるからだ。その前提こそが、リーダーを間違った方向に向かわせてしまう。
反発を「反射的な抵抗」と見なすことは、問題はその人自身にあり、その人が発しているシグナルにはないと決めつけることだ。その後の展開は決まっている。説明を徹底し、推進を加速させ、最終的には強硬手段に出るのだ。
しかし筆者は、長年にわたる組織変革の研究と指導を通して学んだ。抵抗はすべて意味のあるデータである。あなたがリーダーとしてすべきことは、その抵抗が正当かどうかを判断することではなく、それが何を伝えているのかを理解することだ。朝起きて、「今日は退屈だから、どうせ意味のないこの変革のことで、リーダーを困らせてやろう」などと思う人はいない。筆者の経験上、私たちが抵抗と呼ぶものは、ほとんどの場合、別の何かだ。恐怖、喪失感、混乱、過負荷、あるいは時には変革そのものに存在する本当の欠陥である。
問題は、多くのリーダーが、抵抗の根底にあるものを分析することなく、行動レベル──納期破り、陰口、あきれ顔、熱意の欠如など──の抵抗に対応してしまうことだ。なぜそうなるのか、そしてチームメンバーの抵抗が何を伝えようとしているのかを把握する方法について説明する。
リーダーが抵抗を読み間違える理由
抵抗は豊かな洞察の源であるのに、なぜ多くのリーダーが読み間違えてしまうのか。それは、その瞬間には抵抗がデータのように感じられず、反抗のように感じられるからだ。
チームメンバーが決定に異議を唱えたり、なかなか行動に移さなかったり、明らかにいら立ちを見せたりすると、リーダーの内側にも何かが起こる。自分の判断に異議を唱えられたと感じる。自分の立場や権威を損なわれたと感じる。進行を妨げられたと感じる。そして、結果を出すことへのプレッシャーがある中、本能的にその不快感をできるだけ早く解消しようとする。そのため、原因を見極めるのではなく、解釈に走ってしまう。
リーダーはこう自分に言い聞かせる。「彼らはヘソを曲げているだけだ」「彼らはわかっていない」「彼らは乗り気でないだけだ」。こうした解釈は容易だが危険だ。人間の複雑な反応を単純な性格判断に矮小化してしまう。筆者はリーダーたちが以下の3つの罠に陥るのを見てきた。
1. 反発を個人的に受け止める。抵抗を変革ではなく、自分に向けられたものと受け取る。本当は好奇心や懸念かもしれないのに、無礼や不信と受け取ってしまう。
2. 反発を道徳的問題だと見なす。抵抗を勤務態度や忠誠心の問題、つまり「あなたはチームプレーヤーなのか、それともそうではないのか」という問題として捉える。それでは変革の改善につながりうる対話を封じ込めてしまう。
3. 解決を急ぐ。プレッシャー下で、リーダーは説得を強めたり、権限をより強く行使したりして、抵抗を素早く「解決」しようと試みる。しかし、スピードは理解の妨げになる。
皮肉なことに、リーダーが抵抗を排除しようとすればするほど、抵抗を増幅させるか、地下に潜らせてしまう。従業員は口をつぐむかもしれないが、それは彼らが変革に賛同し、足並みを揃えたことを意味するわけではない。本音を語ることがもはや安全でも有益でもないと判断しただけなのだ。
抵抗が実際に伝えていること
抵抗を排除すべき問題ではなく、読み解くべきシグナルだと捉えれば、別のものが見えてくる。筆者の経験では、ほとんどの抵抗は以下の4つのカテゴリーのいずれかに当てはまり、複数の要因が同時に働いていることが多い。
1. 喪失:「自分は何を失うのか」
どんなに前向きな変革であっても、何らかの「終わり」が伴う。権限や専門知識、人間関係、あるいはアイデンティティを失う人もいるかもしれない。優秀なマネジャーが意思決定者でなくなったり、ベテラン社員が専門家でなくなったり、頼っていたプロセスが一夜にして消えてしまったりする。
抵抗のように見えるものも、本人にとって深く大切な何かを守ろうとする行動であることが多い。それは、次のような行動に表れる。
・従来のやり方を守ろうとする
・新しいやり方を邪魔する
・これまでの決定権を手放そうとしない
・新しい仕組みのリスクをことさら強調する
リーダーがよく犯す過ちは、失われるものを認めることなく、未来の姿の魅力ばかりを訴えることだ。代わりに、次のようにすべきだ。
・失われるものを明言する。婉曲表現を使ったり、十分に向き合わないまま先へ進んではならない。何が変わり、何を手放すことになるのかを明確に伝える。「この変革で、あなたが熟練した領域が変わってしまうことは承知している。それはたしかに大きな損失であり、私はそれを重く受け止めている」といった言葉で敬意を示す。
・従来のやり方が象徴していたものを尊重する。従業員は、置き換えられようとしているものに、自分の誇りやアイデンティティを結びつけている。次に何が来るかを示す前に、これまでのアプローチの貢献を認めるべきだ。
・従業員の価値を変革後の状態の中に位置づけ直す。彼らの専門知識、判断力、あるいは人間関係が、今後はどこで重要になるかを理解させる。未来の状況で自分の居場所を見出せれば、過去を手放すことへの抵抗ははるかに小さくなる。
筆者の観察によれば、従業員は自分が失うものが理解され、尊重されていると感じると、次に訪れるものに対してはるかに前向きに取り組むようになる。
2. 不安:「これは自分にとって何を意味するのか」
不確実性は、脳にとって最も強力なストレス要因の一つだ。未来がどうなるか、あるいはそれが自分の仕事にとって何を意味するのかがわからないと、人はその空白を最悪のシナリオで埋めてしまう。自分はまだ必要とされているのか。この新しい体制で成功できるのか。もしできなかったらどうなるのか。
不安が高まると、人は情報をうまく処理できなくなる。仕事に身が入っていないように見えたり、抵抗しているように見えたりするかもしれないが、実際には圧倒されているのだ。このような時に、リーダーが自分の伝達能力を過大評価するのを、筆者はしばしば目にしてきた。一度説明したから理解されたと思い込んでいる。しかし、不安を抱える人々には一貫した説明を繰り返し行い、情報を処理するための余地を与えることが必要だ。それを提供するためには、次のようにする。
・明確さだけでなく、一貫して伝える。主要なメッセージをさまざまな場で繰り返し、理解を確認する。理解が定着するまでには何度も聞かせる必要があるという前提に立つ。
・不確実性があることを当然のものとする。嘘の確信を装う必要はない。実際、知らないことを認めるほうが、過信よりも信頼を得られる場合が多い。たとえば、「まだすべての答えを持っているわけではない。しかし、情報は随時共有するし、一緒に乗り越えていこう」といった言葉をかけるとよいだろう。
・質問し、情報を整理するための時間や場を設ける。自分の声を聞いてもらえていると感じると、不安は軽減される。懸念を表す場をつくる。すぐに解消できないとしても、傾聴すること自体が心を落ち着かせる。この誠実さと落ち着きの組み合わせは、よく練られた完璧なメッセージよりも、抵抗を抑える効果がある。
3. コントロール感の欠如:「なぜ自分の頭越しに決められるのか」
人は変化そのものに対して抵抗するよりも、変化に直面した際の無力感や疎外感に抵抗しているように私には見える。当人たちの関与のない変化を押し付けると、よく設計された取り組みでさえ失敗することがある。その抵抗は、しばしば次のような形で現れる。
・消極的な従順
・最小限の努力
・古い習慣への回帰
・主体性や当事者意識の欠如
多くの組織は、重要な決定が下された後に意見を求める「偽りの参画」と私が呼ぶ行為によって、意図せずこの状況を悪化させている。従業員はすぐに自分の意見が重要視されていないと悟り、発言しなくなる。実際に彼らに関与の感覚を持たせるには、次のようにするとよい。
・従業員が結果に影響を与えられる範囲を明確に示す。すべての決定をオープンにする必要はないが、どの場面で意見が重要視されるかは明確にすべきだ。影響力に関する曖昧さは信頼を損ねる。
・従業員が反応を示すだけでなく、方向性を左右できるよう早い段階から関与させる。事後の関与では、パフォーマンスとしか思われない。プロセス中の関与は、たとえ従業員が望むすべてを得られなくても、当事者意識を生み出す。
・参加を共創に変える。変革の実施方法、適応方法、改善方法など、変革において解決すべき実際的な課題を従業員に与える。「方向性は決まったが、これをどう実現するかは、一緒に考えていく必要がある」などと伝える。
筆者が見てきた限り、道筋をつくる過程に関与すれば、人はその行き先に対してはるかに責任を持つようになる。
4. 変革の欠陥:「これは現実には機能しない」
抵抗が感情的なものではない場合もある。それは実行に関する問題なのだ。従業員は、リーダーが見落としている実務上の問題に気づいているかもしれない。たとえば以下のようなものだ。
・非現実的なスケジュール
・実際の業務の進め方と相容れないプロセス
・他の進行中の取り組みとの矛盾
しかし、リーダーが抵抗を早々に退けてしまうと、変革そのものに改善の必要があるという可能性も否定してしまうことになる。「正当な懸念」と「抵抗」を区別することが、最も危険なのがこの時だ。それによって、リーダーはフィードバックに耳を傾けるよりも、フィルターをかけるようになってしまうからだ。「この人は、私が見落としている何かに気づいているのではないか」と問うほうが有益だ。多くの場合、変革に抵抗している人々こそが、変革を頓挫させるリスクに最も近い立場にいる。従業員の抵抗を正しく読み解くには、次のことを行う。
・正す前に好奇心を持つ。反発を妨害ではなく、潜在的な洞察と捉える。懸念の裏にある実務上の問題を理解するために、追加の質問をする。
・発言の中からシグナルを拾い出す。フィードバックはいら立ちや無遠慮さを伴うかもしれないが、口調だけで内容を否定しない。その裏には重要な何かが潜んでいる可能性がある。
・計画の調整に前向きな姿勢を持つ。優れた変革の取り組みは、状況に応じて進化していく。意見に基づく調整はリーダーシップを弱めるどころか、成功の可能性を高める。
このように見れば、抵抗は無秩序でも不合理でもない。そこにはパターンがあり、しばしば予測可能だ。そして、それはリーダーが理解すべきこと、あるいは再考すべきことを示唆している可能性が高い。目指すべきは、抵抗を正確に解釈し、従業員──そして変革──を前進させる対応を取ることだ。
スタンスを守る
このように、抵抗の裏にある真意に耳を傾ける姿勢があれば、信頼を得られる。従業員はすべての決定には同意しないかもしれないが、あなたが彼らの懸念を真剣に受け止め、行動に移す前に敬意を持って理解しようと努力したことは認めるはずだ。そしてその信頼こそが、変革の取り組みにおいてすべてのリーダーが最終的に必要とするもの、すなわち「スタンスを守る権利」を与えてくれる。
しかし、抵抗が変革を受け止める過程の問題ではなく、行動の問題になる時点があることを忘れてはならない。会議で一度あきれ顔を見せるのは人間らしい。懸念や不満を表明するのも想定内だ。しかし、決定を軽視し続けたり、他者に影響を与える形で関与を怠ったり、チームの足を引っ張ったりする行為は、個人の反応というより、もはやリーダーシップの問題だ。感情は尊重するが、行動面では基準を守ることを理解してもらう必要がある。
筆者は頻繁に、リーダーが両極端な対応のいずれかに走ってしまうのを見てきた。つまり、早すぎる段階で厳しく対処し、貴重な意見を封じて信頼を損なうか、あるいは行動が自然に収まることを期待して対応が遅れるかのどちらかだ。どちらも効果的ではない。この状況をうまく乗り切るリーダーは、次の3つのことを実践している。
1. 行動とその影響を、判断を交えずに明確に指摘する。曖昧なフィードバックではなく、このように具体的な観察結果を伝えている。「会議で、あなたはこの変革の議論に参加しなくなった。変革を受け入れることが容易でないとは理解しているが、その行動パターンがチームの足を引っ張っている」。これにより、推測ではなく事実に基づいた会話が続けられるようになる。
2. 「人」と「期待される基準」とを切り離す。懸念を持つのはかまわないが、グループを弱体化させるような表明の仕方は許されないことを明言している。「この件のすべてに同意する必要はないが、チームを助けるような形で関与してほしい」などと伝えている。これにより、尊厳を守りつつ基準を強化できる。
3. 一貫してやり遂げる。従業員の行動が続いた場合、感情を高ぶらせるのではなく、明確さを高めている。「もしこれが続くなら、正式な形で対処する必要があるだろう」。チームは、あなたがこうした局面にどう対応するかを常に注視している。沈黙は言葉と同じくらい明確なシグナルを送る。
変革を阻害する行動に何の対応も伴わなければ、従業員は「これは実はそれほど重要ではないのだ」と判断してしまう。しかし、リーダーが耳を傾け、関わり、思慮深く対応した後で、明確かつ一貫した境界線を引くと、まったく異なるメッセージを送ることができる。「この変革も、チームも、互いにどう接するかも、すべて重要だ」。責任を求めることは、コントロールするためではなく、配慮するためだ。「私はあなたを尊重しているからこそ耳を傾けるし、このチームを尊重しているからこそ、さらなる期待を寄せている」と暗に言っているのだ。
* * *
抵抗は変革の敵ではない。多くの場合、それはよりよい変革の始まりだ。単なる雑音として扱えば、そこに込められたメッセージを見逃し、データとして扱えば、アプローチを洗練させ、チームを強化し、成果を向上させることができる。目標は抵抗を排除することではなく、それを理解し、共感と決意の両方を持ちながら、その抵抗を乗り越えてリードすることである。
"Leaders, Treat Resistance to Change as Valuable Data," HBR.org, April 20, 2026.







