すべての部署が
モバイル戦略に役割を持つ
モバイル戦略を展開するに当たって、軽視されがちなのが組織の問題だ。企業内で誰が戦略に関わるのか、どの部署がどんな権限を持つのかといった点である。

「数年前ならば、数人のデジタル・マーケティング担当者がいれば済む話でしたが、いまは状況が変わりました。上級レベルの重役が担当し、経営会議でもデータを参照しながらスマートフォン的な視点を代表して発言することが必要です。ベスト・プラクティスは、CFO(最高財務担当者)、CMO(最高マーケティング担当者)、IT部門責任者、店舗運営責任者など、すべての部署がモバイル戦略に対する役割を持つことです。そのうえで、モバイル戦略のトップが、彼らをまとめてリードしていく」
たとえば、デパート・チェーンのメイシーズでは、モバイル戦略の展開を話し合うクロス・ファンクショナルなミーティングが定期的に開かれ、各部門のモバイル担当者が参加するが、彼らに戦略の実践を要請する担当者が別にいるという体制になっている。
予算の面でも、「モバイル戦略で何を達成するのか」を明確にすることが必要だとスペロ氏は語る。情報を提供することなのか、店への客足を増やすことなのか。それに従って、どこから予算を引き出すかが決まる。ただし忘れてはならないのは、「顧客にとって予算の出所は関係ないということ。スマートフォンのユーザーが直面している問題を解決しなければ、機会を失うだけです」。
ところで、スマートフォンはさまざまなイノベーションの現場ともいえる。グーグルは検索技術で世界をリードするが、スマートフォンでの検索にどんな可能性を見ているのだろうか。
「検索結果からクリック一つで電話をかけたり、近くのものが表示されたりする。従来のようなウェブサイト表示に代わり、ユーザーが求めるものにオーガニックに応えているのです」