つまり、これは、投資ごっこ・融資ごっこであって、債務超過の独立行政法人に財投貸付ができさえすれば、実質的な意味は何もない。しかし、これによって、一般会計への債務の付け回しという最悪の事態を避けられるなら、検討に値する選択肢だろう。優先株式に一定の配当がなされるならば、実質的には財投貸付と同じである。

 このような財投貸付けの事情により、厳密な資産査定ができないとすれば、URの現状の簿価を基準として、形式上の債務超過を避けつつ、できるかぎり民間活力を利用することを考えなければならない。

 この場合、URの位置付けは、道路公団の民営化のときに設置した独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構のようなものにするのが適切だと考える。貸方に財投借入をおき、借方に賃貸用不動産を保有する。そして、賃貸用不動産については、民間の企業とサブリース契約を結ぶのである。新URが現状の資産簿価を引き継ぐことは、透明性の見地から必ずしも疑問がないわけではないが、現行の会計基準に照らして適正であるという監査意見が付されている以上、これも1つの選択肢である。

 サブリース契約を結ぶ相手企業は、現在のURの賃貸部門を民営化した企業であっても、すでに不動産賃貸事業を営んでいる民間企業であっても、あるいは現在のURの賃貸部門と民間企業とのジョイントベンチャーであってもいい。とにかく、民間の創意工夫でもって、少しでも利益を稼得し、将来の実質的な国民負担を減らすことが肝要である。

 以上のスキームは、念のため、繰り返すが、調査会としての提案でも試案でもなく、一委員の筆者が個人的・非公式・暫定的に思い描いたスキームにすぎない。調査会としての結論は夏頃には出るはずである。