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人間の知見とAIの能力を統合する技術が重要
仮に、あなたがまだキャリアの浅い段階にあり、上司から少し厄介なメールの作成を命じられたとしよう。チームが取り組むプロジェクトが遅延している理由を、重要な顧客に説明するというものだ。
数年前なら、あなたは自分で下書きを作成しただろう。弁解がましく、回りくどい文面は避けつつも、状況を明確に説明する適切なトーンを見つけることに苦労し、何度か書き直したかもしれない。同僚に見せてフィードバックをもらい、さらに数回推敲してから送信し、それでもなお適切だったかどうか、完全な確信を持てなかったかもしれない。
それがいまや、クロードやチャットGPTなどのAIツールを開けば、わずか数秒で3種類(またはそれ以上)の洗練された文案が手に入る。たとえば、一つは簡潔で単刀直入な文面。もう一つは人間味があって、相手に十分に配慮した文面。3つ目は、この遅れを、プロジェクトの品質向上のための望ましい投資として捉え直した文面だ。
3つとも使えそうだが、どれも最適とは言いがたい。
単刀直入なバージョンは、率直さを重んじる顧客には有効かもしれないが、この悪い知らせはチームの失敗で起こったこととして受け取られるだろう。相手に十分に配慮したバージョンは「流動的なスケジュール」という語句を含んでいるが、これまで3回も遅延していることから、一種の婉曲表現のように読めて、チームがこの事態を真剣に受け止めていないように響くかもしれない。事実を捉え直したバージョンは洗練されているものの、都合のよい解釈のように捉えられるリスクがある。
一見すると単純そうに思えるタスクだが、実際は、この顧客に何を伝える必要があるかを判断すると同時に、このメッセージがプロジェクト全体やチームの信用、そして今後の関係性に及ぼす影響を考慮することが求められる。
プロジェクトの関係者は、こうした要素をすべて承知しているだろうが、AIモデルはそうではない。このような判別能力、つまり評価し、方向性を定め、文脈に合わせ、選択する能力は、AIにプロンプトを与えることで形成できるスキルではない。拙い草稿を書いて、同僚のフィードバックや顧客の反応から、どこがまずかったのかを学ぶことによってしか、身につけられないスキルなのである。
コンサルティング、法律、会計の専門職や、金融、プロダクトマネジメント、戦略の領域の役職など、さまざまな知識労働では、いまや最初の草稿を作成することは容易な仕事になった。難しいのは、ますます洗練性が高まっているAIのアウトプットの質について、判断を下すことだ。
それにもかかわらず、多くの企業は、AI導入における主要な課題は、従業員がAIを使いこなせるようにすることだと考えている。プロンプトのワークショップ、コパイロットのトレーニング、ツールの認定資格などに力をそそぐが、それらはすべて、従業員がAIシステムをより効果的に活用できるようになることを目的としている。
AIの使い方を教えるこうした指導も必要だが、それだけで十分とは到底いえない。本稿の筆者の一人であるダンカンは、最近、『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』に掲載された「AI時代、私たちは『判断力』をどう育めばよいのか」で、判断力がAI時代の稀少なリソースになりつつあると指摘した。本稿では、より難易度の高い問題を取り上げる。企業は、人間の判断力や熟練した技能とAIの能力を統合した新しいハイブリッドスキルを、実際にどのようにして構築できるのだろうか。







