当時僕は、缶詰や飲料缶に用いられる鉄を商材として扱っていた。コーラの缶を見て、ある飲料缶のプロジェクトを思い出したのだ。それは、ほんの最近に手がけたもので、エッセイや推薦状には載っていないもの。あまりに新しくてこれまでネタとして考えたこともなかったものだった。
そのラッキーパンチで救われてから、僕の反撃は始まったのだった。
・・・しかし、やはり、というか、最後に難関が待っていた。
彼女は意地悪に聞いてきた。
「ところで、あなた、大学の時の成績の話だけど、、、、最後の学期だけ成績が悪いわね。もしかして、就職が決まって手を抜いた?」
― そ、そんなところまで見ているの?
確かに大学の最後の学期はあまりいい成績が取れなかった。アメリカの大学に留学していた僕は、最後に学期は就職活動で日本との往復を繰り返しており、腰を据えて勉強することができなかったのだ。
ところで、いま振り返るに、この意地悪な質問に対する回答が面接官のハートに刺さったので、僕はハーバード・ビジネススクールからの入学をもぎ取ったのだと思っている。さらに、これまで海外で公私にかかわらずさまざまなプロジェクトを立ちあげ、何とか成功させてきた中で、最も重要だったグローバル環境でのコミュニケーションのエッセンスは、この質問への回答に詰まっているとさえ思っている。
僕は、こう回答した。