マーケターたちは、いわゆるマーケティングの「4P」(製品、価格、流通、プロモーション)をよく持ち出す。イノベーターたちも、同じようにイノベーションの4Pを即座に口にできなければならない。つまり、自分たちの開発している製品やサービスの可能性を示す4つの要素――人口(population)、普及率(penetration)、価格(price)、購買頻度(purchase frequency)である。
具体的に売上目標を検討しているならば、対象とする人口、その人口における普及率、価格、購買頻度を単純に掛け合わせるのだ。私が通常アドバイスするのは、まずターゲットとする人口をかなり正確に調べ、市場での価格と購買頻度について推測し、最後に、売上目標を達成するにはどの程度の普及率が必要なのかを計算することである。
この見かけによらず簡単な計算によって、ある事業アイデアのビジネスモデルについて多くの要素を取り込むことができる。それはニッチを狙っているのか、マスを狙っているのか。購入頻度が低いものなのか、頻繁に購入するものなのか。目標価格を実現するには、どのチャネルがよいのか。購買頻度が一定だとして、どのようなサポートサービスが必要だろうか。
このイノベーションの4Pを利用すれば(5番目の要素として利益率(profit margin)を加味すれば、売上ではなく利益を検討できる)、数値の背後にある仮説の実現可能性について、体系的に判断する方法を見つけることになる。
事業アイデアについて深く考えをめぐらしながら複雑な計算式をつくることは、とても有益だろう。だが一方で、それは前進する歩みを止めてしまう可能性もある。込み入った質問に悩む前に、シンプルな質問にしっかりと答えられるようにしておこう。