Step1◆ニーズの多様化とターゲット顧客

 なぜターゲット顧客を大雑把に把握するのでは駄目なのか? そもそもターゲット顧客の明確化は有効なのか? と疑問に思う方も多いと思います。後者については、潜在顧客の「間口を広げたい」という企業の思惑に関わりますので後述するとして、ここでは前者について見ていきましょう。

 質問者が言うように、「顧客ニーズの多様化」は確実に起こっています。1960年代は全世帯の80%が紅白歌合戦を視ていましたが、2012年は42%でした。視聴率が半減した理由は、ほかに面白いと番組が増えたことや、テレビ以外の娯楽(コンサートやパーティなど)に出かける人が増えたことが挙げられます。もちろんパソコンやスマートフォンで遊んでいる人たちもいます。まさに、12月31日の過ごし方が多様化したわけです。

 これを質問者の問題に置き換えて考えてみると、ニーズが多様化する今、ベストと考える商品やサービスを販売しても、すべての顧客が購入してくれるわけではありません。大衆向けの商品・サービスであれ、女性向けのアパレル製品であれ、顧客自身の期待値に合うかどうかが問われるわけです。つまり、すべての女性のニーズを満たそうとするのでなく、ある特徴を持った女性顧客層をターゲットとして捉え、彼女たちのニーズにマッチした商品を提供することでしか販売効果は上がらなくなっているのです。

 ではなぜ、多くの会社がターゲット顧客を決められないのでしょうか?

 その理由は、3つ考えられます。