では、具体的にイノベーティブな企業では、どのようなリーダーシップスタイルが取られているのだろうか?下記の図表2を見てほしい。
(図表2)
ビジョン型が63%と最も高い
ヘイグループの調査によると、フォーチュン500の中でも「最もイノベーティブ」と考えられる企業において発揮されているリーダーシップスタイルは、「ビジョン型」が63パーセンタイルと最も高く、「率先垂範型」が42パーセンタイルと最も低くなっている。これは、組織の管理職が、目指すべきゴールを明確化している一方、日々の業務レベルへの介入は最小限に留めながら組織を率いていることを示唆している。
一方、同項目について日本企業を見てみると、「率先垂範型」が59パーセンタイルと最も高く、「ビジョン型」が36パーセンタイルと最も低くなっており、先述した「最もイノベーティブな企業」とは、真逆のリーダーシップスタイルを示していることがわかる。
これは、組織全体向かうべき方向性や達成すべきゴールを管理職が明確化せず、日々の業務に介入することで組織を回していることを示唆している。中長期的なゴールを示していないので権限の移譲が進まず、上位管理職が日々の業務に介入することで、「目先の火消し」に奔走していることが伺える。先ほどのテグジュペリの例えで言えば、イノベーティブな企業では船長と士官が最終目的地を示した上で、日々の操船作業や危機対応はクルーに任せているのに対して、日本企業では船長や士官が最終目的地を明確化していないため、クルーの能力をうまく引き出せず、結果、自分たちが操船作業や危機対応に介入せざるを得なくなっている状態にあると言える。