Step2◆ショップ別・スタッフ別のデータを分析する

 最後に、顧客がどのような行動をするかを考えてみましょう。店舗に入って陳列商品を見て回る人もいれば、ネット通販を利用する人もいます。今回は店舗販売だけを考えてみましょう。

 顧客はどこの店舗へ行くのでしょうか? 質問者の会社が提供する商品のグレードは記載されていなかったので不明ですが、中高級品であれば百貨店やファッションビルのインショップや路面店などが想定されます。まず重要なのは、ショップ別の売上規模や成長性を評価することです。

 各店舗で顧客は実際に商品を手に取り、生地の感触を確かめたり、気に入れば試着して自分に似合うかを確かめたりします。店内のレイアウトやマネキンの位置なども売上げに影響を与えるといわれていますが、最も重要なことは店舗スタッフの接客にあります。顧客に質問をして、好みを聞き出し、その好みに応じた商品を提案することが重要なのですが、ここで店舗スタッフの能力が問われます。顧客の雰囲気、体型、髪型、肌の色などから、ベストフィットの商品を勧めることができれば、おのずと店舗の売上げは上がるはず。

 そこで重要になるのが、店舗スタッフ別に売上規模、成長性や優良顧客の割合などのデータを蓄積することです。その分析から、低生産性の店舗スタッフの問題点を洗い出すことができれば、各人に合わせた指導方法が見えてきます。人材育成は、業績向上に向けた重要施策の筆頭です。

 顧客は気に入った商品を購入して気分上々、その買い物は顧客にとって「良い思い出」です。店舗スタッフは購買履歴をデータベース上に記録するわけですが、単に購入金額と商品番号だけでなく、接客時の顧客とのやり取りや顧客に対する感想などの定性情報を残しておくことが大事です。顧客に「良い思い出」を再現させるには、次の顧客誘引活動を効果的に行うことが必要だからです。

 時間軸に沿って顧客の行動を分解して考えることは、重要情報の見落とし(漏れ)をなくすために非常に有効です。また、それらの各行動をデータ化して評価することで、有効な打ち手が明確になります。何より、成果につながらなかった取り組みの原因を特定することが可能になり、これが、事業活動の質を確実に高めるのです。

◆顧客の立場で考えるためのポイント◆
1.収集した情報に合わせて自分なりに整理軸(フレームワーク)を考える。
2.顧客の行動を時間の順序で整理する。
3.ショップ別・スタッフ別のデータを分析する。

◆具体的なアクション◆
1.ターゲット顧客に合わせた商品調達ができているか?
2.店舗スタッフは、ターゲット顧客にベストフィットの商品を提案しているか?
3.顧客の購買履歴と共に定性情報を蓄積しているか?