11. 過去のしがらみを断ち切る
既存のマネジメント・システムは無条件に現状維持を重視する傾向がある。今後はイノベーションと変革を促進しなければならない。
12. 参加型の手法を用いて組織の方向性を決める
社員の献身を引き出すには、権限の大きさにかかわらず、先見性や洞察力の持ち主に目標設定の責任を負わせる必要がある。
13. 全体を俯瞰する業績尺度を設ける
既存の業績評価指標は、新たな創造的経済での成功に不可欠な能力を十分に考慮していないため、刷新されなくてはならない。
14. 大局観の下、長い将来を見据えてマネジメントを行う
既存の報酬・インセンティブ制度は、経営陣が長期目標を犠牲にして目先の利益に走る一因となっている。これに代わる新たなインセンティブ制度を見つける必要がある。
15. 情報をできるだけ広く共有する
情報を広く行き渡らせる仕組みをつくり、社内の1人ひとりが全社の利益に沿って行動できるようにする。
16 変革に前向きな人に権限を与え、後ろ向きの人からは権限を奪う
過去にしがみつかず、将来を切り開こうとする意欲を持った人材に、より大きな権限を与える。
17. 社員の裁量の幅を広げる
マネジメントのあり方を改め、最前線の社員が自主性を発揮し、各現場が新しい試みに挑戦できる土壌づくりをする。
18. アイデア、才能、経営資源の社内市場を設ける
経営資源の配分には、階層制よりも市場メカニズムのほうが適している。社内の資源配分にも市場メカニズムを取り入れるべきである。
19. 意思決定から駆け引きを排除する
意思決定プロセスから先入観を取り除き、組織全体の集合知を活用しなければならない。
20. 二者択一的な発想を捨てる
既存のマネジメント・システムではともすれば、特定の目標を達成するために二者択一が迫られる。これからは複数の条件を同時に満たす柔軟な仕組みが求められる。
21. 人材の想像力を解き放つ
人の創意工夫を刺激する方法については、すでにさまざまな知見が存在する。それらをマネジメント・システムにもっと取り入れるべきである。
22. 情熱溢れる組織をつくる
社員たちが仕事に打ち込むには、情熱が自然とみなぎってくるような職場づくりを工夫しなければならない。
23. 社内外両方の力を動員できるよう、新たなマネジメント手法を考案する
価値創造のネットワークでは往々にして、組織の垣根を超えて社外との連携が必要となる。これは権力を拠りどころとした従来のマネジメント・ツールを無意味なものにする。複雑なエコシステムに対応する、新たな手法が必要だ。
24. 人々の心をつかむ言葉と慣行を用いる
これまでのマネジメントでは、効率、優位性、利益といった目標が重んじられてきた。新時代のマネジメント・システムでは、美、正義、つながりといった、人々の持つ普遍的な美徳を同じように重んじる必要がある。
25. マネジャー層の発想に新風を吹き込む
従来のマネジメントで重視されてきた演繹的思考や分析能力に加えて、今後は概念思考や体系的思考を習得する必要がある。
※原注:本記事を詳述した『ハーバード・ビジネス・レビュー』(米国版)2009年2月号の論文“Moon Shots for Management”(ウェブ版・英文)は、こちらから参照。
※上記論文の邦訳は『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2009年4月号「マネジメント2.0」。