第1に、最もわかりやすい方法がある。集中を妨げるものを遮断すればよい。私は朝6時に執筆を始めるが、懸案事項がない場合はコンピュータのワイヤレス接続を遮断し、携帯電話もオフにする。運転中は、携帯電話を後部トランクにしまう。極端すぎる? そうかもしれない。しかし自分を信用しすぎないほうが賢明だ。
第2に、これは少しわかりにくいかもしれないが、忍耐力の欠如を逆手に取ることだ。締切を非現実的なほど短く設定する。すべての会議を半分の時間にする。あらゆる作業について、必要と思われる所要時間の3分の1だけを費やすようにするのだ。
締切ほど、物事を進捗させてくれるものはない。そして物事が速く進んでいると、集中を余技なくされる。徒競争をしている最中にテキストメッセージを送れる人がいるだろうか。1時間を見込んでいたプレゼン会議を30分でやるとなったら、途中で電話になど出るだろうか。
また、マルチタスクは大きなストレスを生む。このため、厳しい締切を守ろうとしてシングルタスクに集中すると、むしろストレスが軽減される。つまり時間が限られると、生産性が上がり精神も安定するということだ。
そして最後に、人は完璧ではないことも覚えておくとよい。たまになら、少しぐらいのマルチタスクをやってもかまわないと思う。この文章を書いている今の私もそうだ。2歳の息子ダニエルが部屋に入ってきて私の膝に這い上がり、「モンスターズ・インク」の映画を観たいとせがんでいる。だから、しょうがない――この記事を左側のウィンドウで仕上げながら、ダニエルを膝にのせ、右側のウィンドウで映画を観せている。
ささいなマルチタスクなら、やらずにはいられない時もある。