その日の終わりに、落ち着いて自分の行いを振り返るのは、ほんの数分、実際には5分ほどでこと足りる。以下を実践してみることをお勧めしたい。
毎日仕事を終えて会社を出る前に、数分間を費やして「その日、何があったか」を振り返ろう。カレンダーのスケジュールを見ながら、実際に起きたことと比べてみる。出席した会議、やり終えた仕事、交わした会話、コミュニケーションをとった人々、さらには休憩時間についても、思い出してみよう。それらが意図していた通りに運んだかどうかを念頭に置きながら。その後、次の3つの問いを自問してみよう。
●今日はどんな1日だったか。成功体験はあったか。どんな問題に直面したか。
●今日、何を学んだか――自分について、あるいは他人について学んだことはあるか。明日の計画は何か――それを新しい方法でやるのか、従来通りにやるのか。
●今日、誰と交流したか。情報を更新すべき相手、感謝すべき相手、質問すべき相手、フィードバックを返すべき相手はいるか。
この最後の問いは、人々との関係を維持し広げていくうえで必須となる。親切へのお礼、質問事項、あるいはプロジェクトの最新情報を伝えるために2、3本のメールを送るのは、ほんの数分あればいい。人間関係について考える時間を取らなければ、私たちはこうしたコミュニケーションをつい忘れてしまう。しかし、他者の助けがなければ何もできないこの世の中では、大変重要なことだ。
ジュリーと私は、数度にわたりじっくり話し合った。そして、もっと落ち着きと余裕をもって仕事をすれば周囲の人々に目がいくようになる、という効果を彼女は認めるようになった。たとえ優れた業績を上げても、度を超えた猪突猛進ぶりは彼女にとってマイナスとなり、その地位を危うくし、周囲にも辛い思いをさせる――このことをようやく理解したのだ。
こうして徐々に、多大な努力とともに、彼女は変わっていった。そして周囲の人々も、やがてそれに気づき始めた。もう大丈夫だろうと私が悟ったのは、彼女に電話したある日のことだ。数週間以内でいいから電話を欲しい、とメッセージを残したのだが、彼女はその日の夜に電話をくれた。
「こんばんわ、ピーター。メッセージを聞きました。あと、私を助けてくださったこと、とても感謝しています。いまから会社の人たちと飲みにいくところです。近々、あなたをお誘いしてもいいかしら」
そして思った通り、その約束は果たされた。
※名前と詳細は変更している。
HBR.ORG原文:The Best Way to Use the Last Five Minutes of Your Day January 3, 2011

ピーター・ブレグマン(Peter Bregman)
CEOおよびリーダーにアドバイスを行う戦略コンサルタント。最新刊は『最高の人生と仕事をつかむ18分の法則』(日本経済新聞出版社)。