博報堂ケトルの連載第1回目では、木村健太郎氏に広告コミュニケーションの変遷について語っていただいた。では広告業界に、いまどのような変化が起こっているのだろうか。第2回目は嶋浩一郎氏に変化を知る上で欠かせない3つのキーワードについて語っていただく。
「広告が変われるか?」なんてことを聞かれてしまうのは、「あいつらは変われないと」と意地悪にこの業界を見ている人や、この業界の中にも「環境が激変してるのは分かるけど、今更どうやって自分たちが変化すればいいのか分からない」って思っている人も結構いるからだと思います。
現実はどうなのかといえば、ケトルの共同経営者である木村健太郎が前回書いたように、広告は変わり続けているということでしょうか。今、自分(今回は嶋が担当です)はカンヌ・インターナショナル・フェスティバル・オブ・クリエイティビティの審査のためにカンヌ入りしているのですが、まさに、その変化を日々体感しています。
もちろん、これらの変化は今すぐに日本の広告業界すべての人に受け入れられるものでもないし、カンヌで見られる新しいコミュニケーションの手法は既存のビジネスのような収益をいきなり約束するものでもありません。
とはいえ「変われるか?」という命題を突きつけられているこの状況を僕らはかなり肯定的に捉えています。むしろ、業界にとってのチャンスだと捉えて、楽しみたいとも思っています。
いま、クライアントは新しいコミュニケーションのフォーミュラを求めています。既存の広告からソーシャルメディアや最新テクノロジーまでコミュニケーションのツールが無限に広がる世界で、それらを使いこなす最強の編集技術が競われているのです。その戦いには既存の広告業界以外のプレイヤーも続々参加して、異種格闘技の様相も呈してきました。そんな場で自分たちの技術が試されることはとてもエキサイティングなことだと思いますし、その戦いの中で、既存のメディアや広告会社の知見は本人たちが思っている以上に活躍の場があると思っているんです(そのこともおいおい書きますね)。
いま、自分はそのバトルの場のひとつであるカンヌにいるわけですが、今週から開催されるフェスティバルに参加する広告業界をまさに今「変えている」人たちを捕まえて(生け捕りにする感じで)、その変化を嶋と木村が聞きだします。この業界におきるであろう変化の新鮮な萌芽を摘み取るべくがんばろうと思います。
でその前に、今回は嶋が最近気になる広告業界の動きと、実はそのためにこんな意外な変化がおきるんじゃないかという予測(妄想に近い部分もあるかもしれませんが)を3つのキーワードで紹介させていただきます。