画期的イノベーションは、大きな権限を持つスポンサーの後ろ盾がなければ実現が困難であるという。スポンサーは資源面の援助だけでなく、「遊び心」を持つ必要があると筆者らは述べる。どういう意味だろうか。
画期的イノベーションにまつわる真実――それは、遊び心を持って取り組めば成果を得られる、ということだ。これを誤字だと思う人や、「遊ぶ」などという言葉が「イノベーション」と同じ文脈で使われることが気に入らない人、あるいは「マネジャーはあらゆることに遊び心を持って取り組むべきだ」というアドバイスにいら立ちを覚える人は、ぜひこのブログを読んでほしい。
経営幹部がチームを編成して、画期的イノベーションを追求する際、取り組みをオペレーション層に担わせることが多い。コア事業ではこのやり方がうまくいっている。これは、下層の従業員への「権限委譲」にもなるし、多忙すぎて手がふさがっていると嘆く幹部の負担を減らすことにもなる、非常に賢明なアプローチに思えるかもしれない。
だがここには、幹部が画期的イノベーションに関与したがらない、という事実が隠されている。それはなぜか。これまでとは違うマネジメント手法が必要となることを、彼らは察している。しかし従来とは異なる意思決定の方法を学んでいないため、自分が無能と見られるのではないかと恐れている――特に画期的イノベーションにおいては度重なる失敗はつきものなので、なおさらだ。
画期的で可能性に溢れるアイデアを生み出し、それを実現して企業に新たな価値を創造するためには、このような傍観的アプローチは逆効果となる。
画期的イノベーションの取り組みには、幹部レベルの庇護者による積極的な関与が欠かせない。スポンサーすなわち必要なリソースを提供し、始まったばかりのプロジェクトを反対派の攻撃から守ってくれる人物である。
どんな人物が、画期的な(漸進的ではない)イノベーションのスポンサーに適しているのか。答えは簡単だ。誰の許可も必要とせずに「イエス」と言える人である。