戦略はマンスリー、アイデアはデイリー
木村:ところで、佐藤さんは僕と同じく、ストラテジー畑とクリエイティブ畑を両方経験して今に至っているけど、クリエイティブディレクターがマーケティングや経営革新をリードしていくということを主張していますよね。
佐藤:はい。THE DAYのコンセプトである「リードエージェンシー」という言葉には、そういう意思をこめています。極論すると、今はクリエイターがマーケッターになる時代だと思うんです。
木村:なぜ、クリエイター?
佐藤:一般的に、マーケッターは矛盾とかもやもやしたものに、ひとつひとつきちっと答えを出しながらすっきりさせていきたい気質の人が多いけれど、クリエイターは矛盾やもやもやしたものに対して耐性があるから、そういったカオスな状態を楽しめる人が多い。だから、今話してきたような運用型、運営型、カオスをマネジメントする仕事が多くなってきた時代には、クリエイターの方が力を発揮しやすいんじゃないかと思うんです。
木村:ふむ。でもそれはマーケッターとクリエイターという職種の話でなく、戦略とアイデアという職能の話じゃないかな。戦略立案はどちらかというと収束させていく思考だけど、アイデア発想は拡散させていく思考だから。
佐藤:そうですね。僕は、「戦略はマンスリー、アイデアはデイリー」だと思うんです。大きな戦略は月に1回提案したり確認すればいいものだからマンスリー。アイデアは毎日のように、企画やコピー、アウトプットを考え提案できる仕事だからデイリー。
木村:つまり、デイリーにクライアントと常時接続しながら伴走していくパートナーシップは、アイデア、クリエイティビティがキモだということですね。
佐藤:そうです。戦略は大胆であるほど「すごいね」となるけど、どんなに飛距離のある大胆な戦略を作っても、暗闇の中、遠くから「おーい、こっちだよー」って言われるだけじゃクライアントは怖くて走れない。クライアントと一緒に伴走することが何より大事で、ゴールに向かってどうアクションするかが、ゴールを設定することと同じくらい重要だと思うんです。