ブレーンストーミングは、凡庸なアイデアしか生まない場合もあるだろう。しかし適切に活用すれば、コラボレーションを基にしたイノベーションを実現する最適の手段になるという。
アレックス・オズボーンが1940年代に考案した「ブレーンストーミング」というコンセプトは効果がなく、「グループシンク」(集団浅慮)に結びつく――こんな内容の記事が、2009年1月に『ニューヨーク・タイムズ』紙と『ニューヨーカー』誌で紹介された。
スーザン・ケインは『ニューヨーク・タイムズ』紙の記事とHBRのインタビューで、いまや一般的となった「有能な一匹狼の時代は終わり、コラボレーションの時代が来た」という見解は研究結果に反していると主張する。記事によれば、「人はプライバシーが確保され、誰にも邪魔されない時のほうがクリエイティブになれる」ことが研究で明らかになっているそうだ。
さまざまな分野で類い希なる創造力を発揮してきた人たちの中には、単独で仕事をすることを好む内向的な人も多い。ジョナ・レーラーは『ニューヨーカー』誌の記事で、「ブレーンストーミングは集団の潜在能力を引き出すどころか、個人の創造性を低下させている」ことを示す研究結果を提示している。
クリエイティブな個人が優れたアイデアを生むことの重要性に、我々も異論はない。また、オズボーンが考案したブレーンストーミングのプロセスは、使い方を間違えると、コラボレーションではなくコンセンサスにつながるだけだという意見にも我々は同意する。皆さん同様、我々も「コンセンサスに基づく集団浅慮」というのが大嫌いである。
しかし両記事は、ブレーンストーミングはコラボレーション思考を促す有効な手段ではないと批判するにあたり、アレックス・オズボーンの概念を根拠としている。ここに問題があるのだ。我々はイノベーションにおけるコラボレーションの重要性を強く主張するものであり、ブレーンストーミングのテクニックを正しく利用すればコラボレーションの強力な手段になると考えている。
我々は長年の経験を通して、マネジャーが3つの単純なテクニックを上手く活用して、ブレーンストーミングの際に集団浅慮を回避する例を見てきた。以下に紹介しよう。