仕事に行き詰まっているのに異動、転職が望めない時

 はたから見れば、だれもまったく気づかれないものの、30歳のミドル・マネジャー、ファティマ(仮名)は仕事のことでひどく悩んでいた。

 大手多国籍食品企業のマーケティング部門の花形社員である彼女は、常に業績基準や目標を達成してきた。長年かけて築いた同僚たちとの関係は、彼女にとってかけがえのないものだった。会社の将来を背負って立つ人材の一人として、上司たちは彼女に期待をかけていた。

 ところが会社の外では、ファティマは仕事に行き詰まりを感じ、日々の業務と、本当にやりたいこととのギャップに苦しんでいた。