マネジメントは専門職(プロフェッション)たりえない

 マネジメントがプロフェッショナルの仕事だと見られるのも無理はない。経営者は、医師や弁護士と同じようにステータスが高く、社会の幸福に貢献する義務がある。さらに経営者にも、育成のための正規教育や認定資格がある。なかでも代表的なものがMBAの取得だ。もしマネジメントがプロフェッショナルの仕事だとすれば、ビジネス・スクールはさしずめプロフェッショナル養成機関といえよう。

 このような認識が、昨今の不況下でビジネス・スクール批判に火をつけた。「ビジネス・スクールは、社会的責任を担うビジネス・リーダーを育成するという義務を果たしていない」と集中砲火を浴びている。ビジネス・スクール側の対応も同じ認識に基づいており、プロフェッショナリズムの向上を目指して努力してきている。エール・スクール・オブ・マネジメントの元学長、ジョエル・ポドルニーは、HBR2009年6月号に寄せた論文[注1]で次のように述べている。

「生計を立てるための職業がプロフェッショナルの域に達するには、『公平な立場に立つ』『社会に害を及ぼさない』『大きな恩恵をもたらす』といった理想を、その行動規範に浸透させなければならない。同様に、ビジネス・スクールがプロフェッショナル養成機関となるには、こうした理想を卒業生の間に浸透させなければならない」