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流動性の功罪
リーダーシップ開発における成功事例には、マネジャーの流動性が取り入れられている。つまり、有望な人材を次々にさまざまな機能部門や事業部に異動させれば、スキルを蓄積するチャンスとなり、ゼネラル・マネジャーへの準備が整う。
単純なモデルだが、それは違う。リーダーシップ開発戦略としての流動性は、いろいろな意味で失敗するおそれがある。意思決定を下した本人が、その決定の成果を享受するにしても、苦しむにしても、その前に異動してしまうため、業務が混乱し、責任がなおざりになるかもしれない。さらに、異動せずにとどまる社員はやる気を失うかもしれない。同じ職務を長く担当しすぎると、そのポストに居続けることが失敗に思えてくるのだ。
また、流動性は費用がかかる。海外勤務や頻繁な転居を伴う時などは、特にそうだ。しかも、流動性そのものが目的化することもある。それでは、競って新しい経験を求めることに社員の熱が入っても、その他の戦略目標や業務目標はかすんでしまう。