消費者の声に従えば活路は見出せるか

 成熟市場における消費者の嗜好は、かつてないほど多様化している。消費者のニーズは一人ひとりすべて異なると考えられ、いち早く察知することに企業は躍起になっている。ビッグデータなど情報収集ツールの進化によって、個人の消費活動が詳細かつ正確に捕捉できるようになったことも、その傾向に拍車をかけている。

 たしかに、消費者の声を聞くのは一つの方法である。多様なニーズに合わせて幅広く商品やサービスを提供するという選択も、あながち間違いではない。ただし、その際の前提は、その商品・サービスまたはビジネスモデルが唯一無二の競争優位性をもち、高い利益率を確保できる見通しがあることである。

 常識的に考えれば、製品ラインナップの拡大は利益率の悪化を招く。その壁を打ち破れるほどのビジネスモデルを構築できればよいが、往々にしてそうはいかない。その挙げ句、成熟市場は儲からないという悪循環に陥る。ならば、どうすべきか。