スピーチとプレゼンの違い

 それでは、スピーチとプレゼンはどう違うのでしょうか。いろいろな見解がありますが、両者の定義上の違いは明確ではありません。

 英語の意味に立ち返って考えると、スピーチとは、「声を使って考えを表明すること」なのに対し、プレゼンテーションは「表現すること」であり、手段と目的は定めがありません。この観点に立つと、声に加え、さまざまなビジュアル手段を駆使して考えを表明する場合をプレゼンというのがしっくりくることになります。

 実際に、大統領や首相が公の場で話をする場合はスピーチ、広告代理店のプランナーや経営コンサルタント、営業担当者が会議での話をする場合には、プレゼンというほうがしっくりきます。大統領はあまりスライドを使いませんが、広告プランナーにスライドは必需品です。やはりこうしてみると、ビジュアル手段の利用によって、スピーチとプレゼンが使い分けられているのが現状のようです。

 ただし最近では、TEDのような最新施設での大規模スピーチではスライドが用いられることも多く、両者の垣根はあいまいになっています。

 もっと具体的な違いは何かというと、「情報やメッセージを伝えるための力点がどちらにあるか」で決まるのではないでしょうか。そしてまさにそれこそが、いまスピーチが注目を集めている理由でもあります。