多様な人々と接して個人的な関係をつくっていくネットワーキング能力は、あらゆるグローバル・ビジネスリーダーにとってきわめて重要なスキルである。しかし、人脈づくりのルールが文化によって大きく異なる場合、これをグローバルに行うのは至難の業になる。実際、文化的な課題は一筋縄では行かず、私が知る外国生まれの若いグローバル・リーダー候補の多くは、アメリカで人脈づくりの機会をしばしば意図的に避けようとする――たとえそうした機会が彼らのキャリア開発にどれほど重要であってもだ。

 インド人の経営コンサルタントのラビ(仮名)は、アメリカで交流イベントに参加した時の経験をこのように語る。

「罪を犯しているような気分でした。本来の自分とは違う人間になろうとして、見せかけだけの偽者になっているような。人脈づくりを試みながら、自分を売り込もうとして、自分の能力を見知らぬ人にひけらかすようなことは、私にとってひどく不自然で、利己的で、まるで目的を果たすために手段を選ばない人間になったような気持ちにさせられます」

 それでは、何ができるだろうか。ラビのような駆け出しのグローバル・プロフェッショナルは、どうすればこの重要なグローバル・リーダーシップのスキルを身につけられるのだろうか。

 私は過去10年間でラビのような若いグローバル・リーダーたちと接するなか、異文化のなかで人脈をつくる3つの手法を見出した。これは自分の文化的振る舞いを新たな環境に合わせて変える際も有用である。

●周囲の人々から学ぶ
 ネットワークキングの場面で他の人々を注意深く観察し、その状況でどんな振る舞いが効果的が、そうでないかを学ぶ。観察結果を踏まえて、自分にとって違和感がなく状況にも合う自分流のアプローチを編み出す。

●文化の論理を学ぶ
 その振る舞いの根拠を、その文化の視点から理解する。たとえば、なぜアメリカでは交流の場面で「世間話」(スモールトーク)がどれほど重要な要素なのかを学ぶ。自分自身や自分の能力を積極的に話すことが実際に妥当である理由を、アメリカ人の視点で理解する必要があるのだ。異文化の論理と振る舞いに精通すれば、その実行ははるかに容易となるだろう。

●最後に、練習あるのみ!
 何度も練習する。理想的には、実際に受けるであろうストレスやプレッシャーを再現できる設定であるとよい。その振る舞いが自分の「新しい標準」、すなわち、自然かつ無意識的に出てくるようになるまで、自身に深く根付かせるのだ。

 こうした手法を使えば、人脈を築くやり方はすぐに身につくだろう。さらには、グローバル・リーダーシップを発揮すべきさまざまな状況でどうすべきかも、学ぶことができる。それはおそらく、リーダーとして得られる最も貴重な学びとなるはずだ。


HBR.ORG原文:How to Network Across Cultures January 17, 2012

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アンドリュー・L・モリンスキー(Andy Molinsky)
ブランダイス大学インターナショナル・ビジネススクールの准教授。担当は組織行動学。心理学部准教授も兼務。