LIXILとTOTOの対照的な戦略
こうしたLIXILの積極的成長策と対照をなしているのが、TOTOである。LIXILが「狩猟型」なのに対して、TOTOは「時間をかけてブランドを確立する」(張本邦雄TOTO社長)といい、自前主義の「農耕型」と株式市場では評価されている。
下図はLIXILとライバルTOTOの2014年3月決算期のBS,PLである。同一の比例縮尺を使って比較している。
この比較図を一瞥してわかるのが、LIXILとTOTOの規模の違いである。LIXILが3倍ほど大きさでTOTOを圧倒している。しかしLIXILの経常利益額はTOTOの1.5倍であり、資本効率や売上効率ではTOTOが勝る。どちらの経営を選ぶかは意見が分かれるが、成長性はLIXILに分がある。M&Aによって大きさを追求してきたので、当たり前である。効率が悪いのも、まだ買収企業を積み重ねただけで、効率化の余地が残っているということだろう。
スピーディーな成長のためにはM&Aは効果的な方法だが、一つ厄介なのはM&Aの成功確率が低いことである。M&Aの成功確率については数多くの調査があるが、例えば『東洋経済(2014.6.7)』誌は、1985年以降の日本企業の買収事例の調査を発表し、「日本企業のM&A成功確率は1割に過ぎない」と結論している。