人間にとって、他者との交流とプライバシーは両方とも同じように必要なのだ。だが今日の職場は往々にして、コラボレーションと社会的つながりばかりが重視された設計になっており、集中と再活性化(休憩を取って仕事に没頭した状態を解除するなど)を図るためのスペースが十分にない。気を散らすものはだれにとっても厄介だが、外向的な人ならではのシャットアウトしづらい場合がある。我々スチールケースは、外向的な人でもプライバシーを保てるような設計上の手法を多く見出してきた。以下にその一部を紹介する。

●外向的な人は社交が大好きだ。そこで、他者と交流したいという衝動を抑制するような、単独作業用の「静寂ゾーン」を設ける。家具・備品の配置を工夫して、会話やアイコンタクトを防ぐ。

●すりガラスなどを利用して、光は入るが気を散らすものは防ぐプライベート・エリアを設ける。通りがかる同僚に声をかけたくなる外向型人間の衝動を抑えるために、人通りの少ない場所に設置する。

●雑音を遮断するための、十分な防音処理を施した個室を用意する。外向的な人は周囲の会話に興味を向けるため、声を最小化または遮断して集中力を保てるようにする。

●全員が個人の仕事に集中するための、クワイエット・タイム(静かにする時間帯)を設ける。これを組織の慣習とすれば、外向的な人も「交流しない時間」を確保しやすい。

●不透明な仕切りや可動式のつい立てを用いて、視覚的に気を散らせるものを遮蔽する。

●外向的な人も、仕事の激しさから離れて一休みする必要がある。独りになって再活性化を図る場として、癒し効果のある内装や音、眺めを備えた場所を設ける。

 こうしたアイデアをうまく実践するために、企業は次の概念を受け入れる必要がある――プライバシーの追求は社交を否定するものではなく、仕事時間のバランスにおいて不可欠なのだ。内向的な人と同じように、外向型もまた、最高の仕事をするために独りの時間が必要な時には、それを求めることが許されるべきである。


HBR.ORG原文:Design a Workspace that Gives Extroverts Privacy, Too October 22, 2014

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クリスティン・コンドン(Christine Congdon)
スチールケースのグローバル・リサーチ・コミュニケーション担当ディレクター。

キャサリン・ガル(Catherine Gall)
スチールケースのワークスペース・フューチャーズ担当ディレクター。