経営者、2つのロゴの使い分けからイメージを広げる
小杉:そういう、愛着を感じる方向に持って方が良い気がしますね。僕はキリンさんの業務を担当しているんですけど、キリンさんはKIRINというロゴマークと、聖獣と呼ばれる麒麟マークの2つを持っているんですね。まさに同じような悩みを持っていたと思うのですが、麒麟マークはお客様とのコミュニケーションツールとしてのキャラクターという位置づけにして、KIRINの方には企業理念を込めて使っていると思います。
ですので、並列で考えるとわけが分からなくなってしまうので、顔文字マークは愛着を育てるものとして、家紋マークは企業の姿勢を示すものとして使い分ければ、どちらも捨てる必要はないのかなと思います。顔文字マークはパッとみた印象も好きだったので。
中野里:あーーー、良かった。顔文字マークはマンガっぽくて全然クールじゃないから、扱い方がよくわからなかったんですよ。使うのを辞めようかと思ったこともあったのですが、社員も皆好きなんですよね。でも、キャラクターとして使うという方法は考えたことが無かったな。
小杉:業界は違いますが、野球の球団もロゴマークの他にキャラクターがいますよね。ジャイアンツファンだとしたらジャビット君はお客様との絆を作る役割ですよね。
それに、この顔文字マークは嫌いになる人はなかなかいないと思いますよ。これに体をつけて、名前もつけたりしたら…。
中野里:寿司屋の玉ちゃん、かな。
小杉:いいですね! 今ふと思ったのですが、この玉ちゃんの横に、「私たちはお寿司のコンシェルジュです」という宣言があると、ものすごく優しいブランドに見えるというか、玉寿司の人格がするなぁーと思いました。堅い寿司屋は世の中にたくさんありますが、優しい寿司屋になれるには玉寿司らしいなぁと感じましたね。
中野里:そういう感じを、野暮ったくなく表現したいなぁー。洗練されたお店なんだけど、こういうものがあることで入りやすくなるような、そんな寿司屋にしたいですね。スターバックスみたいなロゴが店先にあると強烈だなぁと思うんです。
小杉:そのまま大きくすると野暮ったくなると思うのですが、もし良ければ次回までに、太い筆文字をスタバ的なラインで描いて、ちょっとモダンに生まれ変わらせてみましょうか。
中野里:いやー、それは見てみたいですね。絶対見てみたい。いいんですか?
小杉:はい。がんばります。
中野里:ありがとうございます。良かった! 普通に仕事で頼んだら、すごくお支払いしなきゃ行けない所ですよね。
今日話しながら気づいたのですが、結局ロゴマークの使い方1つとっても、多分僕自信がブランディングがブレているんですよ。いやー、それにしても今日は面白かったな。ありがとうございます。僕はすっかり仕事を依頼したつもりでいますので、よろしくお願いいたします。
小杉:そんなに期待されるとプレッシャーがかかりますが、頑張ります。
こうして、2時間に及ぶ初回のミーティングが終わった。最初はなかなか中野里社長の課題を捉えきれなかった小杉氏だが、最後にはついに“2つのロゴ”という懸案事項にたどり着いた。次回、中野里社長が期待するようなロゴは、はたして実現可能なのか? そして、どのように新たな課題が社長の口から出てくるのか?
※次回は4月22日(水)公開予定。
【連載バックナンバー】
第1回「クリエイターは経営者の課題を引き出せるか」
第2回「対談1:クリエイターは経営者の悩みを引き出せるか」