これらを基に作成した指標は、50の国々のランキングも示している(英語サイト。2013年時点で1位はシンガポール、米国は6位、日本は17位)。この50カ国を選んだ基準は、現在のインターネットユーザー30億人の大半が住んでいること、または次代のユーザー10億人を輩出する可能性が高いことだ。
我々は調査のなかで、デジタル市場に備えて迅速に変化している国はどこか、そうでない国はどこかを知りたいと考えた。意外ではないと思うが、変化の勢いではアジアとラテンアメリカの開発途上国が目立っている。国の全体的な経済成長を反映してのことだ。だが我々の分析では、他に興味深いパターンがいくつか明らかになった。
シンガポールとオランダを例に取ろう。現実でのデジタルの発展度では、両国ともトップ10に入っている。だが「勢い」、すなわち2008年から2013年の5年間における変化の度合いについては、両国は対極にある。
シンガポールは地域のコミュニケーションハブとしての地位をさらに定着させようと、官民パートナーシップを通じて、世界有数のデジタル・インフラ開発を着実に進めている。この継続的な投資のおかげで、新興企業にとっても、プライベート・エクイティやベンチャーキャピタルにとってもシンガポールは魅力的であり続けている。
一方、オランダは勢いを急速に失っている。オランダ政府が2010年後半から着手した緊縮政策は、デジタル・エコシステム関連への投資を縮小させた。同国の消費者需要は停滞気味で、時には落ち込むこともあるため、投資家はより良い環境を求めて離れていったのだ。
2008年から2013年における各国のデジタル・エボリューション・インデックスの推移に基づき、我々は国々を4つのゾーンに分類した。傑出、停滞、勃興、そして要注意である。
●傑出:過去にデジタル面で高度の発展を達成してきた実績があり、現在も上昇軌道にある。
●停滞:過去に高度の発展を見せたが現在は勢いを失いつつあり、他国に後れを取るリスクがある。
●勃興:強力なデジタル経済へと発展する可能性を秘めている。インデックスのスコアはまだ低いが上昇中であり、今後傑出する態勢ができている。
●要注意:現在の発展度も過去からの上昇率も低く、大きな機会と課題に直面している。賢明なイノベーションと応急措置によって制約を克服できそうな国もあれば、立ち往生しているように見える国もある。