絵に対する気持ちがまとまらないのでしょうか。身体を傾け、足を組み、渋い表情。

写真を拡大
LIXILグループ社長、藤森義明さん

 しばらくして、座ったままぬっと手を伸ばし、水色の紙を手に取りました。描く準備は整ったようです。

 最初に手にしたのは、黄色のパステル。側面を使い、力強く左下にアーチを描き始めました。

 だんだん勢いがついてきて、パステルがどんどん砕けていきます。すごいエネルギーが、絵に込められていきます。

 そこからの45分間は、あっという間でした。

自分の絵が一番ひどい? 他の人の絵がステキに見える不思議

 全員の絵が描き終わりました。藤森さんも、部屋に入ってきた時とは打って変わって、清々しい表情をしています。

 5人の絵を机の上に並べると、まるで小さな展覧会のようです。

「うわあ、みんなほんとうまいなあ! おれの絵が一番良くない(笑)」と、笑いながらも複雑な様子の藤森さん。このワークは不思議なことに、他の人の絵がステキに見えるものなのです。

 お互いの絵を鑑賞し、その感想を聞いて、作者が意図を発表します。

 高橋さんの絵は、情熱的に仕事に取り組むということを表現した作品だ、という説明がありました。

写真を拡大
高橋一さん

「私は、仕事は一生懸命やればやるほど楽しいものだと思っています。黄緑色は、いろんな方とコミュニケーションした結果生まれる新しい命。黄色がかったオレンジは、仕事において仲間とピンチを切り抜けるイメージを表現しました。青い渦の部分は、いろいろな人とコミュニケーションしながらグーッとスパイラルに上がっていくイメージだったんですけど、“こすりんぐ”をするとどんどん大人な色になってしまって(笑)」

 タイトルは、「コミュニケーション スパイラル」。藤森さんの「成長。上に向かうエネルギーを感じる」という感想が、見事に作者の想いを言い当てていました。