2.運営支援:優れたツールでフリーランサーの力になる
多くのシェア経済の市場には、非常に大勢の供給者が存在している。しかし彼らは往々にして、シェアビジネスのやり方を知らなかったり、学ぶための時間や意欲がなかったりする。
たとえばあなたが仕事のために引っ越すことになり、アパートを売却するのではなく、空き部屋のレンタルを仲介するAirbnb(エアビーアンドビー)やHomeAway(ホームアウェイ)を介して貸し出したいと考えたとしよう。しかし、レンタル業務を効率的に運営するためのツールを持っていない。すべての申込者をどのように審査すればよいのか。各滞在の合間にアパートを清潔に保つにはどうすればよいだろうか。さらにレンタル業務を本気で拡大したければ、資材管理システム、リアルタイム解析エンジン、自動価格決定ツールなども必要になるだろう。
一部の運営支援者が、そうしたツールを提供し始めている。たとえばベンチャー企業のPillow(ピロー)はAirbnbの空き部屋提供者のために、客の滞在後の清掃や、価格と稼働率を最適化するサービスを提供し手数料を受け取る。また、ZenDrive(ゼンドライブ)は月々少額の手数料で運転業務を支援している。タクシーやハイヤーのドライバー志願者を審査し、合格者がドライバーの職を得た後は(安全と効率化を助けるために)運転の様子をモニターする。
3.連帯支援:コミュニティづくりと信頼構築を助ける
シェア経済の不都合な点の1つは、何が効果的で何がうまくいかないのかを、供給者が独力で学ばねばならないことだ。安全性について話し合える組合もなければ、最も利益が見込める機会の見つけ方を教えてくれるマネジャーもいない。供給者たちには知識を交換できるコミュニティが必要なのだ。
そうしたコミュニティの1例にRideshare Guy(ライドシェア・ガイ)がある。同サイトでは、複数のカーシェアリング企業で効果的に働き収入を最大化するためのアドバイスを提供している。コミュニティとしてさらに充実しているのがPeers(ピアーズ)だ。フリーランサーとその顧客を含むシェア経済の参加者たちを、取りまとめ支援するためのプラットフォームを提供している。
シェア経済はソーシャルネットワークの力に後押しされ、社会的流動性と富を生む強大な源泉となりうる。それが主流となり既存の大企業がゲームに参加してくる前に、賢明で野心的な起業家にはチャンスがある。広大かつ急成長中のこの市場で、今こそ大きなシェアを獲得できる機会だろう。
HBR.ORG原文:The Sharing Economy’s New Middlemen March 05, 2015
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ソフィー=シャーロット・モアッティ(Sophie-Charlotte Moatti)
モバイル、イノベーション、リーダーシップに関する助言を提供するシンクタンク、プロダクツ・ザット・カウントのCEO。以前にファイスブックやノキアを含む複数のテクノロジー企業での勤務経験がある。