起業家的な人に見られる3つの特徴

 起業家的な人とは、多数の人とは少し違う人のことであり、「違うけれども違いすぎない」人が成功する起業家であるとも言われる。それでは、どのような「違い」に注目すれば、起業家的な潜在力に気づくことができるのだろうか。

 第一に、起業家的な人は、「インターナル・ローカス・オブ・コントロール」が強い人が多い。「自分の人生を、自ら考え行動を起こしコントロールしたい。他人や環境に左右されたくない」と考える人たちである。長いものに巻かれてしまうよりは、自分が周りの人や環境を変えていきたい、と考える。

 関連する第二の特徴は、何か人ができないようなことにチャレンジし、成し遂げてみたいという強い願望である。起業家的人材が本質的に求めているものは、お金でもないし、組織の中での地位や権力でもない。成し遂げるプロセスとプロジェクトの結果を出すことそのものに強く惹かれるのである。また、プロジェクトやタスクを前進させていくにあたっては、自分で考え、決断し、実行していくための裁量を可能な限り確保したいと考える。

 以下の図表1では、筆者が監修した研究をもとに、起業志向が強いグループ(必ずしも起業しているわけではない)と起業志向が弱いグループが対比されている(注1)。例えば、前者では、68%の人が成功の可能性にかかわらず、信じるものの実現に向けてチャレンジする意向を見せる一方、後者では、その比率は19%にとどまっている。明らかな差異を読み取ることができると同時に、このような行動を支える起業家的な特徴を感じることができるであろう。

 この対比からもわかるように、“できる理由”を考え、やってみて、何が起こったのかを振り返ることが大切だ。“できない理由”ばかりを考え、変化を避け、“予定通り”を目指す組織は、不確実性の中では滅びる。機会をとらえ“絵”を描き、その実現のために語り、行動し、必要な経営資源をかき集めることができる、そんな起業家的な人が活躍しなくてはならない。