Quantified Self(自己の定量化)というムーブメントが、米国を中心に広がりつつあるという。活動量計などで自分の行動を定量的に測定することで、自分をより明確に知ることが目的だ。そして今後は「自己測定能力」が人材採用でも重視されるようになる、という示唆に富む考察をお届けする。
採用面接では、難問を出題する必要はない。グーグルは「スクールバス1台にゴルフボールはいくつ収まるでしょうか」といった類の質問を廃止した。同社の人事担当シニア・バイスプレジデントであるラズロ・ボックによれば、それは雇用主にとって「何の参考にもならない」うえ、「完全に時間の無駄」だからだという。
面接での質問は、体系的でなければ大して役には立たない。それよりも、実際にプロジェクトをやらせて試験としたり、その人の作品集(ポートフォリオ)を見たりするほうが、プロとしてのパフォーマンスを的確に予見できることが判明している。
とは言え、まだ安心すべきではない。アナリティクスを重視する企業のマネジャー候補や幹部候補として面接に備えている人は、あるシンプルな質問にしっかり答えられるようにしておくほうがいい。すなわち、あなたは「自分を定量的に測定」しているだろうか。
行動のほうが言葉よりも雄弁であるとしたら、自分の行動を計画的に測定すれば、自身のことを数字で具体的に示せるうえ、人となりをより明瞭に伝えられる。測る対象が歩数であれカロリーであれ、「自己定量化(Quantified Self)」というムーブメントは、自分にとって意味のある数値をモニターしたい人々の間で重要なプラットフォームになっている。
あるベンチャーキャピタリストは、職場改善のアナリティクスについて私と話している時にこう語った。「出資先の起業家たちには、携帯電話でメール以外のものもチェックして欲しいよ」
現状を振り返ってみよう。あなたは時計、ウェアラブル、スマートフォンやタブレットを使って、どのような行動を継続的に記録しているだろうか。自己の鍛錬や努力を示すデータを、日々モニターしているだろうか。賢明な会社は、採用時にこれらの資質を重視する。
過去30日・60日・90日間の運動やダイエットを見やすく図表化したカレンダーを示せば、面接官や幹部人材の採用担当者は好印象を持つかもしれない。完了したタスクと今後の工程を、カラー付きで詳細に表示するデジタルの「To Doリスト」でもいい。あるいは、主要なクライアントおよび見込み客について、コンタクトから成約までの達成率データを示すのはどうだろうか。