カギを握るのは「逆転」のステップである。業界・事業に根付いてきた思考や信念と対立するような、新しい発想を取り入れるのだ。思考モデルを変えることは変革への重要な第一歩となる。その次のステップは、資本の配分方法を実際に変えることだ。GEの場合は、イメルトの采配の下、必要なケイパビリティを買収ではなく自社で開発すると決めた。

 ただGEがそう決断した一方で、多くの企業にとって、買収や提携は新たな概念を現実化するうえで有効となる。

 2016年初頭にゼネラルモーターズ(GM)の経営陣は、交通・自動車の世界でライドシェアと自動運転車によって激変しつつあるビジネス環境に、みずから参加することを決めた。同社のアンマン社長はこのように述べている。「モビリティの分野では、過去50年間に起きた変化よりも、今後5年間に起きる変化のほうが大きいと我々は確信しています」。自社もその一部でありたいと明らかに望むGMは、2016年1月、乗客とドライバーを結ぶデジタルネットワーク企業としてライドシェアを提供するリフトへの5億ドルの出資を発表した。

 リフトは、車の利用に関するまったく新しいビジネスモデルを体現している。ジョン・ジマー社長はこう述べている。「自動運転車の市場開拓戦略は、個人所有ではなくネットワークに基づくものと、当社は強く信じています」。GMは自動車業界に関するこの仮定を受け入れ、資本の一部を新たな未来に賭けたのだ。

 GEもGMも、新たなビジネスモデルが必要とされる新たな未来に向けて、決意と覚悟を持って取り組んでいることは明らかである。

 では、あなた自身、そしてあなたの組織はどうだろうか? みずからが前提としている概念を、見直す意志はあるだろうか。もっと拡張可能な新しいビジネスモデルを支える技術を、理解して投資する意志はあるだろうか。そして、周囲のネットワークと協働し、価値を共有する意志はあるだろうか。

 そうでない方は、我々の調査結果(「アリババ、Uber、Airbnb:数字で見る『ネットワーク・オーケストレーション型企業』の強み」)に目を通し、こう自問していただきたい。「他社のネットワークが自社の市場に浸透するまでに、どれくらい時間が残されているだろうか」

 その答えは自明であると我々は考える。もはや議論している猶予はなく、行動に移す時なのだ。


HBR.ORG原文:To Go Digital, Leaders Have to Change Some Core Beliefs June 01, 2016

■こちらの記事もおすすめします
「自分が陳腐化する」不安は、行動を変えただけでは拭えない
規模とスピード、利益と社会的意義…勝ち残る企業はトレードオフを乗り越える

 

バリー・リバート(Barry Libert)
デジタル分野のコンサルティングとエンジェル投資を行うオープン・マターズのCEO。ペンシルバニア大学ウォートン・スクールSEIセンターのシニア・フェローも務める。The Network Imperativeの共著者。

 

メーガン・ベック(Megan Beck)
デジタル分野のコンサルティングとエンジェル投資を行うオープン・マターズのコンサルタント。ペンシルバニア大学ウォートン・スクールSEIセンターの研究員も務める。The Network Imperativeの共著者。

 

ヨーラム(ジェリー)・ウィンド(Yoram (Jerry) Wind)
ペンシルバニア大学ウォートン・スクールのローダー記念講座教授、兼マーケティング担当教授。The Network Imperativeの共著者。