恐怖を受け入れて、
メンバーの潜在能力を信じる

 では、どうしたらメンバーの感情の壁を取り払い、本音の議論へと導くことができるだろうか。それは、リーダー自身がメンバーの意見を心から受け入れるマインドになっているかどうかにかかっている。

「ファシリテーション型リーダーシップ講座」に参加したDさんの体験談を紹介したい。Dさんは講座で「ファシリテーション型リーダーはメンバーの発言は心から受け入れる」という講師の発言を聞いて、最初は信じられなかったと言う。ファシリテーションとは自分が意図した方向へ相手を気持ちよく誘導することだ。そう考えていたDさんだったが、なぜかその話が頭から離れなかった。そして、研修終了後、ある商品開発の会議で、本当にメンバーの発言を心から受け入れてみようと決意した。それは、その会議で若手メンバーから出た突拍子もないアイデアが出た時だった。いつもなら即座に却下していたDさんだったが、本当に面白いかもしれないと考えて、すぐにスーパーで手に入る程度の材料を使ってプロトタイプを作ってみた。すると自分自身も、発言した若手メンバーですらも考えていなかった新しい発見があり、イノベーティブなアイデアが生まれたという。

 口先だけの誘導型ファシリテーションではなく、メンバーの潜在能力を信じること。そしてリーダー自身がメンバーに本音で話すこと。それが、ファシリテーション型リーダーのメンバーへの向き合い方である。チームには自分の想定を超えるアウトプットが眠っている、そう考えるリーダーこそが、チームの多様性を活かせるはずだ。とはいえ、人に任せるのは怖い。恐怖を受け入れて、周りを巻き込み、ゆだねて、自主的に動いてもらう。そのような状態を作りだせるのが、ファシリテーション型リーダーである。