特長④人と機械・社内と社外の最適フォーメーション

 人間と機械の最適な組み合わせによりマン・マシントータル生産性最大化とタレントマネジメントの高度化ができる組織

 人と機械の最適共存については、AI/RPA/Chatbotの導入やHRテックの活用があるが、日本でまだまだ課題が多いHRテックについて述べたい。過去5年いわゆるHRテックのスタートアップに投じられた投資額は70億ドルに上る。その大半は給与払い、福利厚生管理などのオペレーション効率化、または人材スキルやモチベーションの可視化、配置管理などのタレントマネジメントに関連する領域だ。一見活況なHRテック市場だが、我々はその本領は未だ発揮されていないと見ている。理由は徹底的な内向き志向だ。

 国内で特に活況な、クラウドベースのタレントマネジメントソリューションは社員のスキルやEVP(Employee Value Proposition)を可視化し、社員の適正配置を促すことで、リソースの最適配分、離職率の低減に有効に働く。HRの非正規データの管理精度も上がっており、自社HRリソース管理の効率性に大きく寄与したことは疑いの余地がない。しかし、その利用用途は事業ポートフォリオの大半を占める既存事業の膨大な人員管理にフォーカスされており、デジタル領域における未知のリソース、ケイパビリティ管理にうまく利用されているとは言いがたい。功罪があるのは承知だが、人の定性的な感覚に大きく依存した日本型組織のHR管理は、こと既存事業の管理においては、それはそれで非常に効率的な側面も持っていたはずである。これ以上雑巾を絞り出すことのリターンは小さい。

 上述のようにHRデータは、ありとあらゆる経営データのなかでも非正規性が非常に高い。さらに、デジタル領域において価値を発揮する人材のスキル、EVPはこれまでの人材と比較し、さらに多様で、変化が速い。現在のテクノロジーはこうした未知で可変性の高い外部のリソースの管理に利用してこそ真価を発揮する。

 世界的な某IT企業のデジタル外部リソース管理は非常に先進的だ。その企業は正社員数に対し約20%のリソースを外部パートナーに依存しているが、特徴的なのはその管理方法だ。パートナーは、事業部門、調達部門、人事部門の3つのエンティティの管理対象となる。事業部門からはパフォーマンスを、調達部門からはコストを、人事部門からはスキルとマネジメントの適性を問われる。この企業は、外部リソースをまさにアダプティブ・ワークフォースとしてとらえ最大パフォーマンスを引き出そうとしているわけだが、上記の各データはオンライン、オフラインを通じてシームレスに連携され、自社社員と同様の強度で管理している。