大女優のジェーン・フォンダも
セクハラを受けていた
自戒を込めて書くと、都心のオフィスビルで働くホワイトカラー層が、ブルーカラーの現場・現実の実態を知らないことはあらゆる局面でのことです。
国全体のことでも当てはまり、顕著に表れたのが、マスメディアや政治学者の多くが予測を外した2年前のドナルド・トランプ氏の米国大統領選挙の勝利です。トランプ氏の勝利を支えたのは、地方に住むブルーカラーの人々でした。
そのことを地方の厳しい雇用条件で働く人々へのインタビューなどで明かしたのが『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』(ジョーン C. ウィリアムズ著、集英社)です(著者のウィリズムズ氏は、DHBR6月号の巻頭論文「『#MeToo』運動を機にセクハラ文化は終わるか」の筆者です)。
最近の日本の映画でも、是枝裕和監督の『万引き家族』では、日常の報道などでは表出しない人々の生活が描かれています。主人公の一人は、(私たちが日頃使っている)クリーニング店の工場に勤務しますが、その労働現場は統計数字では想像がつかない厳しい世界です。
『トヨタ生産方式』(ダイヤモンド社)を読み直しますと、「私は徹底した現場主義である」という1文があるように、大野耐一氏が常に生産現場にいて、そこで起きる問題を逐一解決していきながら、同書を著したことを知りえます。マネジメントの課題は現場で発生しているのです。
さて、今号から連載「Life’s Work」がスタートしました。毎号、世界のプロフェッショナルお一人に、そのキャリアについてインタビューしていきます。
1回目は、大女優のジェーン・フォンダ氏です。女優業を選んだ理由、政治活動の道に入った経緯、セクハラや性差別を受けたこと等々、人生の山谷を乗り越えてきたフォンダ氏の再起力が語られています。
また、7月19日からマイケル・ポーター著『新版 競争戦略論Ⅰ』が発売となります。19年ぶりの改訂で、「戦略とインターネット」など新しい論文が5本加わっています。DHBR最新号ともども、よろしくお願い申し上げます(編集長・大坪亮)。