ポジティブなコミュニティが急増している
―― 他のSNSとInstagramの大きな違いは、どのような点にありますか。
竹林 私たちは、(1)コミュニティ、(2)ビジュアル表現、(3)カルチャー、の3点だと考えています。
まず、コミュニティですが、そもそもInstagramには、「大切な人や大好きなこととあなたを近づける」というミッションがあります。家族や友人など「大切な人」に加えて、趣味や関心=「大好きなこと」で繋がるプラットフォームだからこそ、利用者にとってInstagramは自分の好きなものが集まっているポジティブな場所だといえます。旅行好き、ペット好きなど趣味・関心を中心にコミュニティが形成されているため、ビジネスも自社製品に関連するコミュニティとコミュニケーションを取り、マーケティングに活用しているケースが多く見られます。
そして、Instagramは写真・動画をシェアするSNSとして、コミュニケーションのビジュアル化を牽引してきたと自負しています。スマホでの動画視聴が増加する中、最近の若い世代は横長の動画を見るときもスマホを横にせず、縦のまま見る人が大半だというトレンドを受け、縦型の長尺動画に特化したIGTVという新しいプラットフォームを立ち上げるなど、最新のビジュアル表現を可能にするアップデートを常に行っています。
カルチャーは、利用者がInstagramを活用することで、単発ではないカルチャーやトレンドを生んでいるケースが非常に多いということです。例えば、元号が変更された際にInstagram上でも令和のライブ中継が行われ、利用者の方々が盛り上がったということが挙げられます。「好き」で繋がるコミュニティがたくさんできて新しいトレンドを作ったりする。それをInstagramが支えているわけです。
マーケティングの全過程でInstagramの特性を生かす
―― Instagramを広告の場として活用するためのポイントはどのようなものでしょうか。
竹林 直接の購買行動につながっているケースが多いので、「商品やサービスの認知から購買行動に至るまでの全過程でInstagramを使ってはどうでしょうか」と提案しています。
認知ではリーチの補完が極めて効果的で、あるキャンペーンでは1億円の予算で20歳~34歳の男女をターゲットにテレビCMを流した際の獲得リーチは40.7%でしたが、その予算の10分の1、つまり1000万円でInstagramとFacebookに流してもらうとテレビCMとの重複リーチの人が15.9%おり、InstagramとFacebookの単独では14.1%でした。つまり合計で30%のリーチを達成しているわけです(※7)。

購入では、18年に「ショッピング機能」を備えました。商品のタグが表示され、それをクリックするとeコマースのサイトで購入できるといった仕組みです。ショッピング機能がさらに進化した形として、現在、米国の利用者に向けて展開している「チェックアウト機能」があります。これはInstagram内で商品の発見から購入、支払いまでのすべてを完結できるものです。今はまだ大手ブランドのみの対応ですが、この機能によって、商品購入に繋がる機会は圧倒的に増える可能性がありますね。
―― 既存のメディアとの協調など、まだまだ可能性がありそうですね。興味深いお話をありがとうございました。
(※2)Kantar Japan委託調査2018年5-6月
(※3)Instagram内部データ 2017年9月
(※4)Instagram内部データ2018年5月
(※5)Instagram内部データ2018年10月
(※6)Instagram内部データ2018年10月(2016年9月との比較)
(聞き手・ダイヤモンド社コンテンツ企画開発部)