COLUMN 「Instagram」が企業広告の新たな有力メディアになり得る理由
今、デジタルマーケティングの最前線となっているのがInstagramだ。SNSとして日本ならではのトレンドや既存のSNS活用との違い、さらには活用成功事例などについてフェイスブック ジャパン社でInstagram及びFacebook広告を担当する竹林明日美・クライアントソリューションマネジャーに聞いた。

利用者の8割がビジネスアカウントをフォロー
「行動のトリガーになっている」
―― 2017年には「インスタ映え」が新語・流行語大賞に選ばれましたが、日本におけるInstagramのトレンドに変化はありましたか。
竹林 Instagramは2010年10月にサービスが始まり、17年に「インスタ映え」で新語・流行語大賞を受賞しました。その後も順調に増加トレンドを示し、19年3月現在で3300万アカウントを達成しています。
アクティブアカウントの増加に伴いいくつかの興味深いトレンドが浮かび上がってきています。まず、「Instagramは若い女性向けのプラットフォーム」と思われがちですが、実はすでに43%(※1)が男性の方で、継続的に増えています。年齢層も男女を問わず広がりを見せ、非常に影響力のあるインフルエンサーには、いわゆるアクティブシニアの方も多く見受けられるようになりました。

次にInstagramが日常生活に欠かせないツールになってきています。5人に1人(※2)の方が朝の目覚めと同時にログインされ、また毎日、インスタグラムでなにがしかの検索をされています。グローバル平均と比較して、ハッシュタグ検索の回数が3倍もあるなど、日本では検索ツールとしてもInstagramが使われています。
―― 昨今、注目度が高まっているビジネス活用という観点ではいかがでしょうか。
竹林 Instagram利用者はビジネス(企業)との交流に好意的であることも分かっています。利用者の8割(※3)がビジネスアカウントをフォローしていることも分かりました。また、83%のユーザーが「Instagramの投稿をきっかけで行動を起こしたことがある」としており、Instagramは行動を起こすトリガー、行動を促すプラットフォームになってきています。

また、Instagramの広告配信は利用者の興味関心に基づいて配信されるように設計されています。つまり、興味がない人も含めて全員に広告を配信することはありません。だからこそ、Instagramは行動を促すことができると考えています。
日本のInstagramは「ハッシュタグ検索」と「ストーリーズ」の“大国”
―― 日本の利用者ならではの動きはあるものでしょうか。
竹林 先ほど検索機能を使われる方が多いとお話ししましたが、これは本当に日本の利用者の大きな特徴で、日本のハッシュタグ検索の数はグローバルの3倍(※4)にもなっています。買い物にしても旅行にしても日本の方は、「事前に勉強しておこう」という姿勢が強く、こうした気質が検索機能の活用につながっているのではないかと推測しています。このことからも、Instagramが日常に欠かせないものとなっていることが分かります。
2つ目が、投稿が24時間で削除される「ストーリーズ」が多用されていることです。日本は世界でもトップクラスの「ストーリーズ大国」で、アクティブユーザーの70%(※5)がストーリーズを使っています。投稿数は2年前と比べると20倍(※6)になっています。
―― それはInstagramの使い方にどのような変化をもたらしましたか?
竹林 24時間で消えるので、Instagram自体が非常にカジュアルに投稿できる特性も備えるようになりました。その日にしか見られないというのがよいのかもしれませんし、シャイで恥ずかしさを失わない日本人の気質にマッチしているのかもしれません。
もう一つ、日本で特徴的なのは、インスタ映えを狙った商品やお店づくりなどが盛んなことです。コンビニスイーツやインスタ映えのする場所を訪ねる旅行企画などが次々と開発されており、Instagramから生まれるトレンドやカルチャーが非常に多く見られるのは、日本ならではですね。