去る10月29日、東京・渋谷で「Instagram Day Tokyo 2019」が開催された。国内の月間アクティブアカウント数が3300万を超え、若者のあいだではすでにマスメディア化しているInstagramをどう活用し、ビジネスの成果を上げていけばいいのか。豊富なケーススタディを交えたセッションが行われ、Instagramマーケティングの最前線を実感できるイベントとなった。
ユーザーの9割はビジネスアカウントをフォロー
ストーリーズの利用者は1日5億アカウント

イベントの冒頭では、アメリカ本社から来日したInstagram製造部門責任者のヴィシャル・シャー氏がInstagramの現況について説明した。「大切な人や大好きなことと、あなたと近づける」をミッションとするInstagramでは、「利用者に自己表現を楽しんでもらうこと」、「安心・安全な環境を保つこと」、そして「興味関心とつながること」の3つを柱として製品開発を行っている。Instagram利用者にとってビジネスは興味関心の延長線上にあり、企業のマーケティング活動との親和性が高いのが特徴だ。
また、ユーザーは新しい発見のためにInstagramを訪れている。マーケティング・リサーチ会社Ipsos(イプソス)の2018年の調査によると、Instagramで「商品やサービスを見つける」人が83%、「最新トレンドを把握する」人が61%、「インスピレーションを受ける」人が50%に上る。

そこで、Instagramは「発見タブ」に広告を表示できるように、その機能を充実させた。発見タブは、画面下部のホームボタンの隣にある虫眼鏡のアイコンをタップすることで表示され、ユーザーの興味関心に合わせた投稿が並ぶ。ここに広告を表示できるようになったことで、ユーザーにとっては自分の興味関心に合った投稿に触れる機会が広がり、広告主にとってはフォローされていないユーザーにリーチを拡大できるというメリットがある。
ちなみに、Instagramユーザーの9割は、何らかのビジネスアカウントをフォローしている。ビジネスアカウントであっても興味関心のある内容であれば、積極的にフォローしているということだ。
特に昨今、広告主から注目を集めているのが、ユーザーが投稿した写真や動画が24時間で自動的に消える「ストーリーズ」だ。ストーリーズは、1日当たり世界で5億アカウントのユーザー(ビジネスアカウントを含む)が利用、カジュアルな投稿を楽しんでいる。Instagramでは、ストリーズのクリエイティブ機能を充実させており、今年からストーリーズ広告でもアンケートスタンプを使えるようにした。これにより、広告を通じてユーザーとインタラクティブなコミュニケーションを図ることが可能になった。
シャー氏はInstagramが強化している「ショッピング機能」についても言及した。国内ユーザーの80%が何らかの商品やサービスを購入するときにInstagramを参考にしている。かつてはInstagramで見つけた商品を買うためには、別途ウェブブラウザで検索しなくてはならなかったが、2018年に国内で提供を開始したショッピング機能では、画像をタップしてタグを表示することで、価格を含む商品の詳細な説明を見たり、EC(インターネット通販)サイトに遷移して購入したりできるようになった。

このショッピング機能についても、充実が図られている。その一つが、新商品や限定商品を発売前に通知できる機能だ。発売日が表示された投稿をタップするとリマインダーを設定できる機能で、アディダスが新しいシューズのストーリーズ広告でこの機能を試したところ、発売後3分で売り切れたという。