シャー氏はプレゼンテーションの最後に、今夏から日本にもInstagramの製品開発チームを設置したことを明らかにした。本国アメリカ以外に製品開発チームを置くのは初めてのことで、日本市場にますますコミットしていく姿勢を強く打ち出した。
若年層のInstagram利用は月間1億時間超
検索行動は「ググる」から「タグる」へ
シャー氏に続いて、フェイスブック ジャパン執行役員営業本部長の鈴木大海氏が登壇した。
鈴木氏によると、日本ではInstagramの月間アクティブアカウント数が2019年5月に3300万を突破。とりわけ若年層(18〜29歳)への浸透が進んでおり、この世代の1カ月のInstagram総利用時間は1億時間以上、17年と比較するとほぼ倍増している。すでにテレビより視聴時間が長く、若年層にとってはマスメディアとして機能している。

このInstagramのマスメディア化は、若者の行動に顕著な変化をもたらしている。例えば、電通メディアイノベーションラボの主任研究員、天野彬氏が指摘するとおり、検索行動はグーグル検索を使う「ググる」から、Instagramの投稿につけられたハッシュタグを検索する「タグる」へ変化している。「検索はキーワードを的確に選ぶのが難しいが、タグで検索して表示される画像から興味関心を広げていく」(鈴木氏)のが、若年層の新たな行動パターンとなっているのだ。
若年女性層が情報収集する際に、他の検索サービスに比べて最も利用しているのがInstagramで、「流行のファッション情報」では44%の人が、「話題のグルメスポット」は36%が、「話題のレジャースポット」は31%が、Instagramで探しているという。
情報を収集する際に使われているのが、先ほど紹介した「発見タブ」で、鈴木氏はその使われ方として、ネイルサロンを探す例を挙げた。例えば、ユーザーは発見タブで「#ニュアンスネイル」というハッシュタグを検索し、気に入った画像をタップして保存したり、ネイルサロンが投稿した情報を収集したりする。その後、実際にネイルサロンへ行き、保存した画像を見せて「こんな感じのネイルにしてください」と依頼する。
このように、検索だけで終わるのではなく、行動にまでつながるプラットフォームとなっているのがInstagramの特徴で、「若年層の85%がInstagramをきっかけに何らかの行動を起こしている」(鈴木氏)のである。

鈴木氏は次に、ストーリーズの使われ方についても説明した。気軽に投稿できるストーリーズは、撮影した動画や画像をすぐに投稿するユーザーが多く、見る側もライブ感覚で楽しむことができ、投稿者の存在をより身近に感じられる。
こうした点が支持されて、日本ではデイリーアクティブユーザーの7割がストーリーズを利用しており、その数は1日700万件に達する。日本は、世界でも有数の「ストーリーズ大国」なのである。
ストーリーズのビジネスユースも盛んになっている。最も見られたストーリーズのうち、3分の1がビジネス投稿であり、そのうち6割は質問スタンプなどインタラクティブ機能を活用している。
例えば、小柄な女性向けのアパレルブランドとして知られる「COHINA(コヒナ)」は、オーガニック投稿と広告の両方でストーリーズをフル活用しており、ショッピング機能を組み合わせることで、急速に売り上げを伸ばしている。