就労だけではなく
定着支援に重きを置く

――就労移行支援事業とは利用者が増えれば増えるほど、売上高につながるというビジネスモデルですか。

 利用者のおよそ9割が無料でサービスをご利用いただいています。収益は基本的に、各都道府県の国民健康保険団体連合会を窓口にして、国、都道府県および市区町村からの報酬がベースになっています。

 ですが、単純に利用者が増えればいいということではありません。利用者が就職し、実際に職場に定着したかどうかで報酬単価が2倍ほど違ってきます。そこで私たちは「生活支援」「就職支援」「定着支援」という3つの支援を行っています。

 生活支援ではまず週に3日通っていただいて、規則正しい生活を送り、周囲とのコミュニケーションを取れるように促します。決まった時間に作業や訓練をするというものです。それを週4日、週5日と増やしていきます。

 毎日通えるようになると、次に行うのが就職支援です。面接での話し方の訓練や履歴書の書き方も教えますし、仕事で使えるパソコンも習得してもらいます。

 私たちが最も力を入れてきたのが最後の定着支援です。精神障害者雇用の課題は、採用者が就職してもすぐに辞めてしまうことにありますが、それは企業が単純な業務ばかりをさせることが大きな理由だと思います。精神的な障害があるとはいえ、薬で安定している状態のときは能力を十分に発揮できます。単純業務の仕事ばかりだと、誰でも辞めたくなってしまいます。

 私たちは訓練を通して、就労時点での仕事のレベルがわかります。企業にアプローチしてその会社の業務の中から、彼らにできる仕事の切り出しまで行います。その結果、直近1年間の6か月定着率は87.2%になりました。