伝統的大企業はイノベーションを起こせずに苦しんでおり、ベンチャー企業が彼らの地位を脅かしている。そうした見解を目にすることは多いが、本当にそうなのだろうか。ビジャイ・ゴビンダラジャン氏らが過去30年以上のデータを綿密に調査した結果、実際には、大企業はその地位を盤石にする一方で、小企業の成長は頭打ちになっていることがわかった。
伝統的大企業はイノベーションを起こすことができず、小規模のデジタル企業が大企業の多くを絶滅に追いやるだろう――このような見方をする研究やニュースの見出しがあふれている。
この30年間で、数々のスタートアップがビジネスに破壊的変化をもたらしてきただけでなく、今日の巨大企業へと成長する様子が見られた。一方で、我々には、こんな疑問が浮かんだ。この破壊は、デジタル革命の勢いとともに加速しているのだろうか。
具体的にいえば、既存の大企業が新たなテクノロジーに取って代わられるケースが増えているのか。それとも、大企業は実際には、デジタルや他の新たなテクノロジーを利用して、イノベーションを遂げて成長しているのか。この点を調査したいと考えた。
我々の発見は、一般に信じられている説に反するものであった。大企業は支配的な地位を占め続ける傾向がいっそう高まっており、一方の小企業は、大きく成長して収益を増やす傾向はますます低くなっているのだ。